レストア


 今年の秋でサラリーマン生活にピリオドを打つ予定ではありますが、寄りに よって最後に回ってきたプロジェクトでの設計のお仕事、40年前に納品した 機械のレストアとなりそうです。
1982年の4月12日から勤続してるので、もう少しで勤続39年目、 つまり40年間前に納品した機械ってのは自分が入社する以前の機械であって まったく携わっておりませんが、どういうわけか数年前から修理の問い合わせが 相次ぎ、古い年式であることから完全にオーバーホールするというお話しで、 客先との合意に至った次第であります。
機械を使ってる場所、北海道は札幌の地下鉄のメンテナンスや整備用でして、 普段は雨風が当たらない地下に置いてあるから、気候による風化や劣化がまったく ないであります、水にも濡れませんから大きく錆びません。そんな環境で使われて たから40年も使えたのでしょうね、しかもまたそれをオーバーホールして 使うって!、このあと何年使うんでしょ???
機械的なところは丈夫でも制御系に関してはさすがに40年も経過すると、普通 なら壊れないようなところも壊れたりしてきます、当初の修理問い合わせも、 リレー接点接点保護の半導体ゼットラップが燃えた!・・・ですからね、普通なら あり得ない故障症状です。
操作スイッチの類も相当にガタが来てるでしょうから、システムを総入れ替え するそうな。なので電気・油圧システムを総取り換えで、40年前の図面を 見ながら今風にアレンジして設計し直しておりますが、なにぶんにも古くて不明な 点も多い! 修理問い合わせの対応で現地に行って現物を見てきましたが、手元に 残ってる回路図と実車では相当に相違もあったりします。元々が他社である 鉄道機械メーカーとのコラボ作品で、その一部である昇降装置を勤務先で請け 負ったもの故、細部にわたっては意味不明な回路も多いし、完全に理解するのは 困難でもあります、最後の最後は現物合わせになるかもしれません。しかしながら その時はすでに自分は退職になっておりまする。後は頼んだよ後輩諸君!

 歴史を感じる機械ってのは良いものであります、これが最近のコンピュータ 制御なんてのがなされてると、使ってる部品、CPUやらLSIやら基盤やらが 入手できなくて修理不能で終わりですからね。40年前の機械なら最近の器材に 置き変えてでも甦っていただけます。
しかしまあ・・・・・誰がどういじくったんだか、非常用の手動バルブを開けても 動かすことはできないアホな回路とか、全く意味のない安全装置とか、今の安全 基準では考えられないほどルーズで危険で単純なシステム設計でもありますな。 約40年分貯めこんだ設計のノウハウや知識を注ぎ込んで、新たに作り直して おきませう。




 もし可能なら、経年劣化でポンコツになった自分の体も、新設計で部品を替えて レストアしたいところでありますな。


2021.4. 6 記


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