原音再生?
オーディオ装置で聴く音楽、原音再生なんてのは真っ赤なウソだと思う、どちら
かと言えば、虚構の理想空間じゃないかと!
自宅には2系統のスピーカーシステムが置いてあり、一つはスタジオモニターと
呼ばれるJBL4344、モニターと冠されてるくらいなのだから、さぞや忠実に
音源を再生してくれるのかとイメージします、これをマルチアンプで接続してあり、
ツイーター、ホーンドライバー、ミッドバスの3組を高域側として内蔵のネット
ワークを介してA級アンプ:アキュフェーズA−20を2台にて左右でモノラルで
駆動させ、38cmのウーハーをAB級アンプ:アキュフェーズP−550を
使ってステレオにて配線してあります。
もう一組はTANNOYのstirling/TW、こちらは25cmの同軸2ウェイ
のスピーカーが付いており、これをQUADの707というAB級アンプでステレオ
駆動させて聴いてます。
スピーカー2組とそれぞれに接続してあるパワーアンプ、それぞれの価格を見れば、
JBL側のパワーアンプは発売当時の定価の合計で127万円で、さらにチャンネル
デバイダーと周波数ボードの合計24.5万が加算される、4344は1台65万円
の定価だったから、総合計で約280万円。
これに対してTANNOYはstirling/TW、当時の定価が2本で44万円、
専用のスピーカースタンド1組を足しても59800円、QUADのアンプ707は
22万円でしたので、総合計でも72万円弱です。
両者を単純に価格だけで比較すると約4倍の差額がありますが、音質が4倍違うかと
言えばそんなことはなく、聴く音楽によってどちらが好みかというレベルなのが
オーディオの不思議なのでしょうね。
各音の入り口からプリアンプまでは共通で使っているので、パワーアンプ以降での
違いという事になるのですけど、例えば弦楽四重奏を聴くなら、圧倒的に
TANNOYで聴く方が魅力的ですし、25cm、38cmとウーハーの口径の
大きさの差はあれど、むしろ25cmのTANNOYの方が低域が出てるように
感じる場合もあります。コストパフォーマンスという言葉を使えば、圧倒的に
TANNOY側が高いですね、おそらく一般的な日本の家屋なら、TANNOYの
stirlingとQUADの707相当のアンプを用いれば、これ以上は無い
音楽が奏でられるんじゃないかと思えるのですが・・・・、その昔、リフォームで
自宅を改装する時に、スペースの確保で友人宅へQUADのパワーアンプと込みで
stirling/TWを貸し出したこともあったのですが、友人宅の12畳の屋根裏
部屋では容積が足りなかったのか、まったく満足には鳴ってはいなかったので、一概
にも言えないみたい。
ならばJBL4344で、そんなにお金をかけるのは無駄じゃないかとの声も前様
(嫁)あたりから聞こえて来そうですが、サックスなどの管楽器をJBLで聴くと、
それはそれで何とも魅力的な音色が出るんですよ、以前BOSEの901Wという
スピーカを使っていて、そこから聞こえてきたサックスの音色は、当時出入りしてた
オーディオショップのJBL:LE−8Tのユニットから奏でられる音色とは、
雲泥の差がありました。艶っぽさというか輝きというか、BOSEでは出せない音を
JBLでは出せてたんですよね。
またブルーレイで映画などを見るときに音声をJBL4344にしておくと、5.1
チャンネルとかでなくて単なる2チャンネルのステレオ再生であっても、ボリューム
をあげると恐ろしいほどの臨場感が味わえます、映画『ダンケルク』の冒頭で銃撃
シーンがあるのですが、その音をJBL4344で盛大に再生すると、超ド迫力で
まるで銃弾が飛んできそうな音場に思わず身を屈めてしまいます。
一番困るのはピアノ協奏曲やピアノ伴奏つきの弦楽器のソナタを聴く時でしょうか、
ピアノだけならJBLの方が良いけど、弦ならTANNOYの方がよくて・・・、
まあスピーカーサイズの問題から大人数の協奏曲はJBL、ソナタや室内楽では
TANNOYを選ぶことが多いですかね。
前期のオーディオショップとのお付き合いの中で、個人経営でもある代表が
ボソッと漏らした一言は忘れません、「BOSEは良いスピーカーですよ、セカンド
スピーカーとして・・・・」
BOSEの901Wはそのオーディオショップから購入したんですけどね、ついつい
漏らした本音だったんでしょうね、その他にも自家用ではTANNOYのアーデンを
聴かれていて、マッキントッシュのC28とMC240を愛用されてたかな、
ガラードのターンテーブルにオルトフォンのアームと名機と呼ばれたカートリッジを
付けてましたね。
ご近所だったんですがいつのまにか亡くなられた様子で、ショップだったご自宅も
解体され、現在はまったく異なる建物が建ってます。
閑話休題、どんな高級なオーディオ装置を用いようとも、原音が再現されるなんて
あり得ません、もちろんコンサートホールの実際の再現などできるはずはなく、
かの五味御大もおっしゃったように、あんな小さなレコード針でオーケストラの
パワーが再現できるわけないじゃないですか、あたかもそれらしく、聴く側に都合
よく、架空のS席で聴いてるかのように再生してるに過ぎないんですよね。
まあ録音された時点で、そこにあった音や反響音の何割かがカットされてるんです
から当たり前ですよね、場合によってはマイクは人間には聞こえない音も拾ってます
ので、倍音成分として影響してくることもあるでしょうね。
大事なのはブランドや価格に踊らされることなく、自分の耳と感性で判断して、
自分の好みの音楽を、どのようなスピーカーで聴くかを選ぶことなんでしょうね。
我が家ではTANNOYとJBLになりました。聴く音楽の構成や音源によって
良いと思える方に切り替えて使ってます。
2022.1.25 記
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