ギターケースに御用心!


 昔、都内に住む知り合いにモーリスB−30をしばらく預けた事がありました。 預かった本人、最初はケースから出して弾くこともあったのでしょうけど、 だんだん弾く事がなくなり、やがてはケースの中でギターは眠りっぱなしに・・・・(~_~;)
1〜2年経過した頃でしょうか、もういらないとう事で引き取りに行って、 ケースからしばらくぶりに出してやったB−30は、ボディのあちこちが白濁していて!(;´o`)

 たぶんケースの中に入れっぱなしだったので、塗装が化学変化を起したの でしょう。・・・・と当時思いましたが、あらためて今の知識での解説を加えると・・・・!

 MartinのD−35を修理に出した時、返ってきたそのトップの隅に布の目のような ざらつきがあって・・・(-_-;) 最初からあったのかな?と当初は疑問でしたが、 修理に出す時にビニールケースに入れて持っていった事を思い出しました。 おそらく修理待ちの間、ケースに入れっぱなしで、内側の居り返し部分が長時間 ボディ本体に触れていて、そこが化学変化を起したのでしょう、ビニールケースの 布地パターンと一致します、ラッカー塗装は ビニールに触れていると溶けてしまうんです!(T△T) そんなぁ…

 まあこれは自分の失敗で、ラッカー塗装の楽器を、長時間ビニールケースに 入れたままの形で修理に預けたのがいけないのですが、前記のB−30の場合、 塗装は無敵のポリウレタン塗装、高分子塗料の性質上、一旦 乾いてしまうと化学反応を起して硬化、溶剤であるシンナーで拭いても塗装は 落ちません!
通常なら外部からの影響で塗装が痛む事はないはずなのですが、 たしかに白濁してます、それもサイド&バックだけで、表面は異常なし! よ〜く見ると表面はつるつる、どうやら塗膜の深いところで白濁が起ってるようです。

 自分で使っていた頃は、ケースの中に入れて長期間保存するような事はありません 。そして、その頃は白濁は出てません。おそらく、木材と塗装面の間で何かが あって白濁したのでしょうけど、それまでの通常の使用では発生していなかった ことから、木材と塗装面の間において、遅れてやってきた化学変化では無いようです。 まあ、塗装の本質からもそんなことは考えられないでしょうけどね。
となると、やはり犯人はギターケース!?

 身内に化学物質過敏症の人間がいて、そのおかげでわかるようになったのですが、 ギターケースって化学物質の固まりなのです。(-_-;)
一般的なケースなら、ベニヤ合板の上にビニールを接着し、内部も化学合成的な クッション材を接着剤で貼り、そのうえに布やケバケバがついてギターを保護する ようになってます。つまり、ケースの中は有機溶剤やその気化成分がいっぱい! (゜o゚)

 このようなケースの中に出し入れもなく長期保存すると、有機成分は気化する 以外に布やケバケバからギターに接し、ポリウレタン塗装を通り抜けてシーリング 材や目止めと反応し白濁させるのでしょう。ラッカー塗装の場合は皮膜が ざらつくようになったり、べとつくようになるのかもしれません。
これを防ぐには、ケースにしまいっぱなしにしないことですね!
3〜7日以内に一回はケースから出して、弾いてあげましょう!弾かなくても 数時間は放置してあげることが良いと思いますよ。
国産ギターでポリウレタン塗装なのに白濁したものを随分見かけますが、これが 原因なんですね。

 その白濁も裏側と側板に多く現れ、表面板においてはほとんど見かけません。
これは、表面板が白っぽいから目立たないということではなくて、トップでは実際に 不具合が起きていないのだと・・・・。ギターをケースにしまうときによく見て下さい。 ギターケースの中で、ケースの部材で表面板に触れる部分はありますか?
ケースの蓋の部分で、ブリッジのあたりを押さえようと、ちょっとだけスポンジが 入ってる程度ではないでしょうか。
つまり、表面板においては、ケースがギターのボディに直接触れてないので、化学的な 侵食を起しにくいと言えるからだと思えます。

 我が家ではケースから出して壁から下げてますので、白濁したものはありません。
ただし、埃は付きます。(f^^) オハズカシイ・・

2004.5.25  記

2004.6.18 追記


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