弘法は筆を選ぶ?


 「弘法は筆を選ばず」が正しい諺ですが、これが音楽になるとそうもいきません。
一流の演奏者は楽器を選んでます!
クラシック音楽の世界では当然のように行われているこの慣習が、アコギな 世界ではなぜか否定されることが多々あります。
「プロでもないのに、そんな良いギターを持ってて・・・・」とか、「素人の貴方が 弾いた高級ギターより、ECなどが弾いた安物のギターの方が良い音がする・・・」 、「素人には胴鳴りの音は出せない・・・」etc・・・、ですね。(~_~;)

 たしかに下手くそな素人には、楽器の能力を100%引き出すような演奏は できませんが、だからといって、素人に高級楽器は不要であるとはならない でしょう。
楽器は、磨くため、飾るためにあるんじゃなくて、音を出して弾くために存在し、 けっしてブランドで選ぶものでは無いと思うのですが、一部の方が高価な品 だからと言う理由で、あたかもそのような扱いをされてるからなのでしょう。
チェッキングが入ったの、ピック傷がついたの程度で、価値が下がるとか騒ぐん じゃね〜!ってのが自分としての本音ですが、気にする人は気にするんですよねぇ。(^^ゞ
中古を購入するのが嫌だとか、二アミントでなければ嫌だとか、機種の割に高いと か、Martinでなくちゃ・・・とかぬかす輩が、そんな素質を持ってるんじゃないかと 思います。

 まあ、そんな方々は置いておいて、素人が何故に高級機種を求めるかと考えれば、 二通り思いあたります。
まずは、あこがれですね!
自分の大好きな演奏家や、敬愛するアーティスト達が使ってるのと同じ銘柄、同じ機種、 最初はそれが欲しくなりますよね。(^^*) エー
自分の場合を当てはめれば、ポール・サイモン氏が使っていたのがGuildであり、 日本では、かぐや姫の南こうせつ氏が使用していたのがGuild D−50という時代にあって、 当時のアコギブームの中、雑誌に掲載される評価などを気にしながら、それを鵜呑みに して音も良くわからずに購入したと、今なら言い切れます!(^^;)ゞ イヤー
人によって、ECだったり、JTだったり、吉田たくろう氏だったりと、ここまでは誰もがあるんじゃ ないかと・・・・?(~-~;)ヾ(-_-;) オイオイ
そんな「あこがれ」の機種を手にいてれて、自分もそのアーティストに一歩近づいたような・・・ 幻想をいだくのも良いですよね。

 もうひとつは、音に魅せられて・・・です!(_△_;) モウダメ・・・
最初はあこがれで入って・・・人によってはそれも無いかもしれませんが・・・・、 他の方が持つ高級機種を弾かせてもらう機会があって、そこで質の高い 楽器に巡り合うと、魅力のある音と言うものを知るようになります。
最初は違いなどわからなくても、良いものに多く触れる機会が多ければ多いほど、 だんだんとその違いがわかるようになってきて、自分の心の琴線に触れるような 音の違いがわかるように成長して、ジャラ〜ンだけで感動を覚えるようになると、 完全に放火されます。(~-~;)ヾ(-_-;)コラコラ
このときに、こだわりの少ない方のほうが早く極みに達します。
メーカー名だ、機種だ、などと言ってはいけません。(^^ゞ
自分にとっての好みに合う音かどうか、自分にとって演奏しやすいかだけで 決められればベストですね。素直な気持ちが大切なんですよ。

 楽器によって当然音は違いますし、それに合う音楽も違ってきます。
絢爛豪華きらびやかな音色でブルースを弾いても、サマになりません。
また、「22歳の別れ」のような曲を演奏するのに泥臭い音は似合わないでしょう。
そんなところからも楽器選びは必要になりますし、さらにその上の、微妙なニュアンス、 音楽的表現などを求めるならば、上手い人ほど楽器を選んで当然です。
また、100%使いこなせない素人であっても、名人の演奏に少しでも近づくためには 良いものを使わなければ・・・・、ジャラ〜ンと弾いただけで大きく差がある楽器では、 間違っても届きませんよね。

 ただ気をつけなければならない事は、自分にとって好みの音がけっして 一つだけではないことです。どんなに好きな食べ物でも、ただそれだけで 良いというわけにはいきません。辛口のものが好きでも、時には甘口を 欲しがったりします。これを言い換えれば・・・・・、好みの音の分だけ、 増える、増える増える・・・・・「増殖する」になってしまいます。(^^ゞ


2005.5.30 記


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