オーディオと生楽器


 ギターをボロンと弾いてそこから聴こえてくる生音と、それと同じ機種を レコーディングで使用したCDより再生され、スピーカーから出て来る音は、 似てるところこそありますが、まったくをもって別の音色です。
生音をマイクロフォンで拾い、それを電気信号に変えて媒体に保存する、 あるいはAD変換してデジタル信号として保存する。
そしてそれを記録媒体に書き込み、再生する場合は、読み取り装置を 介してアナログ信号またはデジタル信号を読み出し、伝送できる電気信号に 変換、それをケーブルやアンプを通して最終的にはスピーカーに送り、 そこで電気信号を音に変換する。
さて、ここまでに何回変換されてるのでしょうか? (ー∇ー;)ワカラン
途中での信号損失や変換ロスを考えれば、同じであるはずはないです よね。(~_~;)

 その昔、アナログレコードの再生だけを考えても、カートリッジのあの小さな針先で オーケストラのフルパワーを再生できるはずが無いと、五味康介御大は おっしゃってましたが、オーケストラと言わず、ギター1本でもまったく同じには 再生できません。(^◇^;)
まずマイクで拾う時点で全ての音は集録できませんし、ギターの音以外の 周囲の雑音も集録されます。途中の信号変換でも都度劣化があって当然 ですし、極めつけはスピーカーでの電気から音への変換です。
皆さんが同一のスピーカーを使ってるわけではありませんので、同じ電気信号 から変換しても、スピーカーの機種ごとに音が異なってきます。
つまり、原音再生はできない!・・・という結論に至ります。( -。-) =3

 実際に録音に使ったギターが手元にあるとして、いかなる高級なシステムで あろうと、そこから聴こえる音は実際の生の音とは大きく違うでしょう。
それでも再生した音楽を聴くと、仮にGibsonのJ−45であれば、その音はJ−45 らしく聴こえます。
録音に携わるエンジニアは、音楽信号が途中で変化することを知っており、 必要に応じて音を補正しています。高音成分を増やしたり、低域をカットしたり、 最終的に音楽ソースを再生して、「それらしく聴こえる」ように仕上げます。
このときの再生標準が、高級モニタースピーカーで再生して綺麗に聴こえるようになって いれば良いのですが、ミニコンポやラジカセ、カーオーディオで聴いて、バランスよく聞こえる ように仕上げられるととっても悲惨です。
最近のJポップに多いのですが、 高級なオーディオ装置で聴けば聴くほど、我が家の、それなりにちょっとは高い装置で聴いても、 音の構成が不自然故に、気持ち悪くて我慢できない音になってしまいます。

 オーディオ装置で音楽を聴くという事は、「音の良い楽器らしきもの」で演奏された音楽を 「架空のS席」で聴くということでもあります。
聴いてみて音が良い!、楽器の音が魅力的だと思わせる音楽ソース、優秀なエンジニアが作ったので しょうね。つくづくウインダムヒルやECMのスタッフ、その技術の高さ、センスの良さ、 エンジニアとしての素晴らしさを再認識させてくれます。(^○^)


2005.7.8 記


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