素材×造り=音
アコースティック・ギターの音は、『トップの造り』で、約90%以上が
決まると言えます。
この『造り』の中には、表面板の材質、グレード、ブレイシングの配置や
形状、ブレイシングの材質、ブリッジプレートの形状や材質、ブリッジの
形状や質量、材質などが含まれるのではないでしょうか。
基本的にトップは音を造るところであり、サイド&バックの材質やグレード、
指板やネックの材料、補強用のロッドの質量や取り付け方法等を含む
ネックの完成度や、その装着精度などが、これに色を付けて音色として、
ギターの音を完成させているものだと思ってます。
ですから、サイド&バックの材料名だけ前に出して、マホガニーの音はあーだ、
こーだ、ローズウッドはどうたらこうたらと述べる事は、愚の骨頂でしかないと
言えます。
以前にも書きましたが、同一メーカーでのサイド&バックの音の違いより、
メーカーを代える方が、音質の差は大きいのです。
極端な例をあげれば、GibsonのJ−45とMartinのD−18、両者とも現在の
基本仕様は、トップ材はシトカスプルース、サイド&バックはマホガニー、ネックは
マホガニー、指板はローズウッドですが、出て来る音は全然違うでしょ!
トップの材質にしても同様です。
材質名だけで判断してはいけません。材質のグレードもあるのです!
同じ材料名でありながら、板の状態で叩いてみてコンコンと音がするものと、ゴンゴンと
音がする板では当然違います。同じ材料名であるトップ単板のギターでも、5万円の
機種と数十万円の機種では、このグレードが異なりますから当然音も
全然違ってきますよね。
また、アディロンだ、イングルマンだ、ジャーマンだ、シトカだ、などの
材質名による違いも、トップで音を造る中での味付けの一部であり、
材質名で全てが決まるわけではありません。
まずトーン・ウッドとして良い音の出せる適材があって、その材料特有の
音響特性が、素材の違いによる音色の美妙な違いになるのですが、
ブレイシングの張り方や形状で当然ながら響き方も変わってきますので、これらを
トータルとして考えなければなりません。
表面板の素材の違いをより強調して引き出す『トップの造り』もあれば、逆に
微妙な違いなど端数として埋もれてしまう『トップの造り』もあるのです。
だからこそ、材料名だけでウンチクを述べて決め付けるのではなく、
機種による違いや、それ以上にメーカーによる違いこそを知るべきであると・・・・!(^^ゞ
素材の違いは、同一の、メーカーあるいはルシアーにより製作された、同じ
作り方をされた機種において、はじめて『違い』として現れるものです。
これが異なればまったくの別物、牛肉と豚肉で、調理方法のまったく違う、
フランス料理と中華料理で味を比較するようなものです。
素材だけでは比較の対象にも決め手にもならないでしょう。
どのような材を使って作られていても、GibsonはGibsonの音がしてますよね。
また、「素材だけでは・・・・」と言った舌の根も乾かない内にですが、
素材が悪ければ良い音にはなりません。良い音の楽器を作ろうと思ったら、良い材料は
最低限の必需品です。掛け算の片方の項(素材)が1以下だったら、その積はもう一項
(造り)の数値より小さくなってしまうのです。?(゜_。)?(。_゜)?
安い合板で造られたギターは濁った音がします。それも音造りの一環として、
承知しての上なら良いのですが、ただコストを下げるためだけに行われたのでは、
価格に見合ったそれなりの音で終わりです。
楽器を購入する場合、見た目やブランドに騙されず、ブラインドで弾いて聴いて、
音質や演奏性だけで自分が満足できるかどうか判断できればいいのでしょうけど、
趣味や嗜好ってそういうものでもないし・・・・、言い切れませんね。(^^;)ゞ
イヤー
2005.10.27 記
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