あのD−28は
Martin D−28、75年の歴史を持つ、世界的な標準原器のような機種ですが、
何故か今までに所有した事はありません。低音はドカーンと、高音はシャリーンと、
俗に言う鈴鳴り。
ブルーグラスの世界ではギターと言ったらD−28であり、他の機種は
少数派だとか・・・・、古いジューン・アップルという雑誌にも書いてありました。
トニー・ライス氏のアルバムでその轟音は嫌と言うほど聴いているのですが、
なぜかご本家のD−28は自分には縁がありません。
1955年物を弾かせていただいたときは、低音が出すぎていて、
たとえミュートを掛けても低音が強すぎて、フィンガーピッキングでは
バランスが悪いと感じました。それ故にスタジオ・ミュージシャンや
フィンガーピッカーは使わないのかと・・・?
ギターが増殖する前の20数年前、めずらしくも勤務先でギターの話が出来る人に
出会いました。
車とブルーグラスをこよなく愛する方で、昼休みに彼は、GuildのD−40を工場の片隅で
弾いてました。「おっ、Guild D−40ですね!」と声を掛けたところ、「Guildなんてメーカーを
知ってる人がいるんだ・・・・」と驚き、自分もGuildを持ってることや、年齢も1歳違いと言うことも
あって違和感なく意気投合しました。(^o^)
ギターの他にもウッドベースも弾けるとかで、大きなベースを持って遊びに来られた
事もあります。まあ、その腕前は・・・・・(~_~;)・・・・でしたが。(゜゜;)\(^^;)コラコラ
氏の実兄がブルーグラス・バンドを組んでおり、当時はまだレストランを営業していた
我が家で生演奏をしていただいたこともありました。
そんな彼が、ある日御茶ノ水を散策していて楽器屋に入り、試しに弾いてみてください
と渡されて衝動買いしたD−28があります。本人曰く、ひやかしのつもりで購入の
意思などはまったくなかったのに、弾いてみたら気に入ってしまい、その場に手付で
¥10000置いて後日また引き取りに行ったと!(°〇°;) おおっ?
たぶん、84年のカスタムものか限定生産品だったと思いますが、ロングサドルに
ロトマチックではない安っぽいペグ、他にもハカランダ・ボディのものもあったけど、高くて
手が出なかった・・・と。そのローズものでも¥500000とか話してました。
独身貴族ゆえにできる衝動買いか???ε= (*^o^*)
我が家に持ち込まれたそのD−28は物凄い轟音!
特に低音は、それだけでもベースになるような・・・・同じMartinでも自分の愛器の
D−35が非常におとなしく聴こえました。(ーー;)
血液型B型の性格ゆえか、けっこう無頓着にその名器を扱っていました。
ギターケースにしまうことなどなく、ペグに紐をつけて、アパートの壁からぶら下げて
保管してたようで、全体が埃だらけです。それでも音は凄かったのですが・・・
彼の実兄も、このギターだけはバンドに参加して欲しいと話されてました。
社内恋愛で彼女を見つけ、二人で我が家に遊びに来られたこともあって、
まもなくゴールインかと思わせた氏ですが・・・・・・・
ある日急に、亡くなったとの知らせが飛び込んで!!!( ̄□ ̄|||)がーーん!
元々心臓に疾患があり、血圧が高かった方ですが、30歳になるかならないかで
運転中に吐血して、そのまま旅立たれたと・・・・(T.T)
知らせを受けたその日、同じ社屋の中に彼女も勤務してましたが、まだ知らない
様子でした。でも・・・・伝えられません・・・・・・(>_<)
後日、実家にお通夜に伺い、実兄が対応されてましたが言葉もなくて・・・・。
彼女がそこにいたかどうか、もう記憶が定かではありませんが、ただ涙をこぼして
帰ってきた気がします。
そんな彼のD−28、どこへいったのでしょう。
彼女はまだ同じ社内に独身のまま勤務してますが、・・・・聞けません。(~_~;)
そんな訳があってD−28と縁が遠いのか・・・な???
2006.2.6 記
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