聴感と歪


 アコースティックな楽器の作成においては、コストに応じて可能な限り、 歪みが含まれないように留意して製作されると思えます。実際にクオリティの高い楽器ほど 厳選された良い材料が用いられ、結果として澄んだ綺麗な音という印象ではないでしょうか?
シュタインウェイ・ピアノの透明感ある響き、アコースティック・ギターの鈴鳴りの高音、 サックスやクラリネットの人を魅了する音色、音が澄んでると感じませんか?
しかしながら実際には・・・、歪の無い音ってものすごくつまらない音なんです。(^^ゞ
極端な話、きれいなサインウェーブ、発信機を使っていろいろな周波数を聞いても、 魅力もなにも有ったもんじゃないです。
実際の楽器の音には、倍音と呼ばれる、基本周波数の1〜無限大倍の周波数が、 大なり小なりで加算されて構成され、その楽器の音色となっています。
おそらくその加味のされ方が、黄金比ではありませんが、優秀なアコースティック 楽器ほどバランスがよく、聴感上澄んだ歪の無い音と人間には聞こえるのでしょう。

 車が近づいてきただけでウルサイとわかるほど、ガンガンと大音量でカーコンポを 鳴らされてる方もいますが、あの音は歪だらけです。歪の少ない音は大音量にしても アッサリと聴こえて、うるさく感じません。言い方を代えれば、「物足りない」ともなります。
同様にミニコンポでガンガン、CDラジカセでギャンギャンも、聴いた〜!という感じはするので しょうけど歪だらけのウルサイ音なのです。
不思議な物で、オーディオ道楽にお金を注ぎ込めば注ぎ込むほど、 出て来る音は静かになります。聴いたな〜と感じる音にはなっていきません。(~_~;)
静寂の中で、音楽だけが鮮明に形を作るような、そんなイメージでしょうか?
なんでそんな静寂を求めてお金をかけてるのか、わからなくなる時もあります。(-_-;)

 かの五味康介御大がその著書の中で、エレキギター奏者と会話する部分が ありました。レコーディングなどにおいては、音楽として歪無しを徹底して追求してるのに、 エレキ・ギターの世界では、その歪さえ音楽として容認するのかという内容だったと思います。
たしかに、ディストーションなどというエフェクターもあり、そもそもボリューム全開で ギターアンプからでてくる音が歪を伴っていて、それを音として良しとしてるのですから、 歪無しを常識としてる世界から比べれば、まったくの別世界、正反対でしょう。
でもね・・・、エレキギターの音色も、通常とは異なる倍音成分が乗ってできた音色と 考えれば・・・・、ちょっとパラメーターを使って、倍音の加算の仕方を変化させてるのだとしたら、 違和感無く理解できるところもあるかと思います。
エレキギターの音で歪みが全然無かったら・・・・・、単にアコースティック・ギターの 音を大きくしただけ?(~-~;)ヾ(-_-;) オイオイ
総じて考えれば、適度な歪みが音の魅力でもあるのでしょうか?(- .-)ヾ ポリポリ

2006.6.19 記


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