家族が化学物質過敏症


 はじめはシックハウスでした。
正式にはシックハウス症候群、最近はこの病名をご存知の方も多くなってきたと思います。
主に建材などに含まれるホルムアルデヒド等の有機化合物成分が、密閉された室内において気化して充満し、長期にわたりそれを吸い込むことで体調不良となっていきます。
最近建築基準法などが改定され、含有成分によっては使用しては行けない原材料に指定され、 以前に比べると改善される方向にはありますが、まだ完璧と言うにはほど遠い物があります。
最初は目のチカチカから始まって、頭痛、倦怠感、躁鬱などの症状が現れますが、これも個人差があって、体調的に調子が悪くなる人と、精神面に症状が出て情緒が不安定になる人などに別れます。
引きこもりや登校拒否なども、原因としてはシックハウス症候群によるものが多いのではないかと考えられてます。
元来、車のエアコンなどを掛けると臭い臭いと大騒ぎする前様、そんなにカビ臭い訳ではないのに何故だろうと思ってましたが、カビではなくてプラスチック臭に反応していたんですね。
2001年に自宅を改装するときに、施工業者の手違いで室内に運び込まれた当時のF1規格の合板、そこから気化された成分によって、いきなりシックハウス症候群を発症した彼女でした。
ここから前様の、どこに行っても臭い臭い病が始まりました。この病気に対する知識は誰もが乏しく、また適正に治療対応できる医者もなく、家人の理解もなしで、徐々に徐々に悪化の道をたどって行ったのです。
娘も高校に進学したものの登校拒否で学校へ行かず、タバコを吸って補導されたり、家の中でバットを振って暴れたり、連日ダウンする前様も情緒が安定せずで、家の中は修羅場状態となったことが何度もありました。(>_<)


 四苦八苦して治療法方を見つける中、やっと治療できる医者を見つけて診断を受け、より重症の化学物質過敏症になっていました。それでも軽い方とのことで・・・・・。
足しげく治療に通う前様から間接的にお医者様の説明を聞き、ふと思ったのです。対称的だけど共通点も多い、鬱で沈んでしまって動けない前様と、躁で多動になって自虐的な行為までする娘、もしかして娘も同じ病気ではないかと?
前様が医者に行く時に娘を同行させ受診させました。結果は・・・・、案の定、化学物質過敏症!
娘の通う高校はど田舎の周囲を田んぼや畑で囲まれた農地にあります。また校内にある教室や施設、体育館などにはきれいにワックスが掛けられてます。
診断結果によりますと、通学時は田畑に巻かれた除草剤や有機リン農薬が気化したものを吸い込み、学校に行けば有機リン含有ワックスが気化したものを吸い込みで発症したのだろうと・・・。
有機リン農薬に侵された子供たちが。凶暴になったという事例もあるそうです。


 たしかに・・・・、この田舎は農薬をよく撒いているようです。
真夏の花火大会、屋外でビールを飲みながら打ち上げ花火を観賞してても、蚊さえ寄ってきません。
近くにある街路灯に虫が集まる訳でもありません。周囲には田んぼが沢山あるというのに・・・・。
旧市内の繁華街にあった子供の頃住んでいた家、真夏には家の中の蛍光灯にまで虫が群がって来ました。それが今、郊外とも呼べるこの場所の、屋外においても虫がいません。
本来聞こえるべき蛙の大合唱も、まったくと言っていいほど聞こえてきません。
レイチェル・カールソンが1962年に発表した『沈黙の春』、そこに書かれてる内容が、少しづつこの現在に起きてきているようです。


 娘の不調の原因もわかってきたので、あとは親としてやるべきことをやらないと・・・・
とりあえず資料を集めて娘の通う高校と交渉して、校内へのワックス塗布を中止してもらいました。

なんとなく・・・、化学物質過敏症との戦いが始まったような感じです。


2007.1.11 記


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