グレン・グールド


 自分の好きなピアニストの一人です。
今更ここで彼について詳細を記載するまでもなく、研究書や執筆も数多く 出回ってますので、ご興味のある方はそちらをご覧下さい。
まったくご存知でない方のために、ウィキペディアからの冒頭を引用しますと、 以下のような紹介があります。

グレン・グールド(Glenn Herbert Gould, 1932年9月25日 - 1982年10月4日)は、 カナダのピアニスト。
バッハの演奏において名高く、20世紀を代表する表現者の一人である。


 残念ながら、もう25年以上前に、今の自分より若い50歳という年齢で 亡くなっています。
天才として、才能を出し尽くして燃え尽きてしまったのでしょうか。

 グールド氏の演奏の特長として、下記の4項目が挙げられると思います。

・演奏しながら唸る
・ペダルをあまり使わない
・伝統的な奏法にとらわれない
・コンサート、ドロップアウト

 同じように『唸る』方、ジャズの世界ではキース・ジャレットさんが有名で しょうか、とにかく、気持ち良さそうにスキャットでウ〜ウ〜唸ってます。
録音エンジニアもその唸り声を、如何にテイクに載らないようにするか 苦労されたことでしょう。本人絶対に止める事はできないと言い張った そうすが、基本的にはその唸り声もグールド氏のピアノ音楽なのでしょう。

 バッハの時代、鍵盤楽器はオルガンとチェンバロでピアノは 存在しませんから、当然ペダルの使用指示もなく、グールド氏の解釈で 編曲されてるのでしょう。
また、極端に低いイスに座って弾く演奏姿勢は、ペダルコントロールには 不向きであるとも思えます。指だけで、タッチだけで、音を消音 することで、音楽を表現されてます。

 伝統的な奏法にこだわらないという点では、音楽学校の教授が見たら 目が点になってしまうような、楽譜からかけ離れた演奏やその奏法ですが、 音楽表現とは自由であり、作曲者を愚弄すると取らなければ何でも有りだと 思いますし、聴き手側が多大な感動を受けるのですから、それもまた良い のでしょう。
いずれにしろ賛否両論はありますけど、世界規模でグールド氏の 演奏を絶賛する方は沢山居るわけですから、彼にしかできないスタイルで 確立したのだと思えます。
イメージとしては、伝統的なクラシックというよりは、ジャズ的な クラシックですね。

 コンサートドロップアウトはビートルズ以前の先駆者です。
ステージでの安定感に欠く演奏よりも、納得できるまで取り直しの できるスタジオ録音を選んだのでしょう。
人によってはコンサートなどのライブステージの方が、ボルテージが上がって この上ない演奏をされるマエストロもいらっしゃいますが、グールド氏は そうではなかったようです。徹底した客観生の持ち主だったのかもしれま せん。

 すでに自分より年下の人物となってしまいましたが、彼の才能が残した 功績は計り知れないほど有りますし、その発想や思考には、凡人が 500年掛かっても遠く及ばないものがあります。
バッハでありながら、官能的な幾何学模様、それがグレン・グールドでは ないでしょうか?
バッハ以外ではブラームス、ベートーベン、モーツアルトやシェーンベルグなどの 現代音楽まで演奏されてますが、ショパンやリストについては皆無と 言っても言い過ぎにはなりませんし、そんなリストが編曲したベートーベンの 交響曲5番『運命』を弾いてるのも不思議です。

彼の生涯を越えた年齢になって、また新たにグールド氏の音楽を 聴いてみたくなりました。
CDもやっと聴くに堪える音質の物が出て来ましたし・・・・(^^ゞ


2008.3.31 記


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