誤診


娘が赤ん坊のころ、アトピー性皮膚炎と診断された。

体に合わないものを食べると、体のあちこちに発疹ができて痒がったり、 情緒不安定になって泣きじゃくったりしていた。

放っておけば喘息にまで悪化すると言われ、母子で食事療法やらいろいろ試した。

まだ周囲に、アトピー性皮膚炎の理解もなく、大変な時期だった。
やたらと根性論を押し付けてくる輩もいた。
小さい子供が食べたがるお菓子を、「私食べられない」と我慢するけなげな女の子だった。

大きくなるに連れ、徐々に症状は収まってきたが・・・・

中学に進む頃には登校拒否するようになった。
学校でも問題を起こしまくりで、何度も学校から呼び出しを受けた。
勉強は出来ないけど、よく全校生徒の前で表彰状をもらう娘だった。

なんとか地元の県立高校に入学でき、順調に見えた娘だったが・・・・

家内がシックハウス症候群から化学物質過敏症になった。

2年生になってから娘の登校拒否が増えた。
母親も娘も寝てばかりで、家の中が、どろどろの最悪の状態であるかのようだった
学校側からは、カウンセリングを受けるように進められたが、カウンセリングを 受けても効果が無い事は直感でわかった。

娘も化学物質過敏症になっていた。
共通項が見つかった。

娘の通う学校に、化学物質過敏症についての理解を求めた。
校内に有機リン入りのワックスを塗布する事を止めてもらった。
しかし・・・・娘の通う高校は、田畑のど真ん中にあった。
当然、季節がくれば農薬の空中散布を行う場所である。
そこへ自転車で通っていた。

煙草を吸って補導された。
学校から謹慎処分も受けた。

娘は高校を替えたいと言い出だして、市街地に校舎のある定時制高校に編入した。
右往左往に曲折しながらも、どうにか5年掛けて高校を卒業できた。
定時制高校でも何度か問題を起こしたが、化学物質過敏症を楯に取り 封じ込めた部分もある。

化学物質過敏症という病を科学的に見つめる事によって、解決策が 見つかって行った。
娘にとって、カウンセリングを受ける事は、時間とお金の無駄でしかない。
脳神経自体が・・・・、思考する神経から壊されるんだから・・・、そんな物が カウンセリングでカバーできるはずは無い。

こんな経験を経て、理解できた事もいっぱいある。
アトピーも、シックハウスも、化学物質過敏症も、これら現代病の根源には 共通する物がある。
それを理解しないで、現代医学における対処療法だけしていても、良くならないし 治らない!
ましてや、カウンセリングやら心療内科やら、誤診も甚だしい。

身の回りの環境を見てみれば、まさに『腐界』の中で暮らしている。
合成洗剤、柔軟剤、香水、芳香剤、防虫剤、家庭の中だけでも神経を侵す 方向に空気を汚染してるものが充分すぎるほどある。
外に出れば、農薬の空中散布、除草剤、有機リン入りワックス、防腐剤、 消毒薬と、公共機関の乗り物内から田園風景の田舎まで、汚染物質で 溢れかえってる。
そんな環境の中で暮らしていれば、脳神経の壊れた輩はいくらでも 出て来る。

気化した有機リンには凶暴性を促進させると言うデーターもあるそうだ。
娘がまさにそうだった。

脳神経が壊れて、凶暴性を帯びた青少年が、動機もなく不条理な通り魔事件などを 起こすのだろう。加害者の生活環境まで是非調べて欲しい、必ず神経を壊した原因があるはずだ。

今までの概念では理解されないようなこの病気、知識が無い故の不注意や環境悪化から発症しないように予防を 呼びかけてきた。
別の病名が付けられていて、同じような症状を訴える人がいれば、 それは誤診の可能性があるよと伝えてきた。
しかし、そんなことは無駄だとわかった。
こんな病気、なってみなくちゃ判らないのである。
花粉症やアトピー性皮膚炎が市民権を得るように一般化したように、 化学物質過敏症の患者が増えて、公的機関が対応を迫れらるように なるまで、環境改善については何も変化は無いだろう。

誤診によってさらに悪化して、どうにもならなくなるまで理解されない 病気でもある。
それでも理解できなければ、神頼みや新興宗教に向かうのであろう。
場合によっては誤診から、再起不能や廃人になる、 あるいは死亡する人も出てるかも知れない。
しかし、それも犠牲者として、人身御供として必要なのだろう、 交通死亡事故が起きた交差点なら、信号機が取り付けられるのと同じ ように・・・・・・・・・(>_<)。


2008.3.26 記


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