魔性の魅力
フルレンジのスピーカーユニットで、JBLのLE−8Tという機種がありました。
昔、これが箱に入ったものを某オーディオ店で、マッキントッシュのMC225だったか
MC240だったか忘れましたが、鳴らしていただいて聞いたことがあります。
特に印象的だったのがサックスを再生した時の音色、ゾクッと感性を刺激する
再生音が忘れられません。(〇o〇;)
フルレンジゆえに、広帯域に渡るハイファイな音楽表現は当然苦しいのですが、
金管楽器を再生するとその音色は堪らない魅力にあふれてました。
当時、自宅にはBOSE901Wがあって、レンジ的には申し分はないのですが、
魅力的な音色の再生というところではどうやっても出てきません、完璧に負けて
ました。( T∇T)
直径20cmのフルレンジユニット、ハイファイ的な広範囲な再生など考えずに、
自分の良いところ、得意なところだけを、磨きに磨きぬいて表現してるような、
まさに魔性の魅力を持ったスピーカーでした。
しかしながら、このユニットで弦楽器の音を聞いても、国産のスピーカーと
変わらない、まったくといって良いほど平凡な音になってしまうんですから
不思議です。
まさにジャズを聴くためにあるようなスピーカー、そんな感じです。
LE−8Tを聴かせてもらったオーディオ屋さん、個人経営の自宅兼用のお店で、
ここには他にTANNOYもあって、たぶんVLZだったと思いますが、
結構大きな箱に入れてありました。
現在我が家にあるSTIRLING/TWにも最近のVLZが使われてますが、それよりも
一回り大きい箱だったような記憶があります。
マッキントッシュをつなぎ変えて、クラシックについてはこちらで聴かせて
いただいてました。
その音色についてはLE−8Tほど強い印象はありませんでしたが、やはり
弦の音はTANNOYの方が魅力的な感じがします。
トータルで言えば、直接音のJBL、間接音のTANNOY、ってイメージなのでしょうか?
ピアノは微妙なところで、スタインウェイならJBL、ベーゼンドルファーなら
TANNOYって感じがしなくもないです。
記憶に頼らずに、現在家にあるSTIRLING/TWのVLZの音について述べれば、
絶対に原音の忠実再生ではありませんが、弦楽器のいぶし銀の音色をみごとに
聴かせてくれてますし、25cmとは思えない低域の強さもあります。
ある意味、JBL4344よりも気軽に音楽を楽しませてくれますし、聴き辛いような
音源であっても、それらしくサラリと聴きやすく変換して奏でてくれます。
この音色のアレンジも魔性の魅力でしょうね。
TANNOY STIRLING、その造りもよくよく見れば工芸品と言っても
過言ではないでしょう、これがあれば、日本の普通の8畳〜20畳程度の
家屋やオーディオルームならもう十分である!、そう思わせてくれます。
最近になって、アンプ等の増幅器やデジタル機器はそれらしく良いものが
出回るようになって来ましたが、オーディオにおけるトランスフォーマー、
カートリッジやスピーカーなどの変換機器においては、まだまだ国産品は
海外物に追いついてないとの感覚が、性能を超越したところで感じられます。
日本のスピーカー、確かに周波数特性などのカタログ性能は良いんでしょうけど、
その音色に魅力があるかどうかというと、やはりイエスとは言い切れないですよね。
しかしこれはスピーカーに限らず、楽器の世界でも同じような気がします。
すべてにおいて及第点は取れるんですけど、きらめくような魅力がない
国産の工業製品的な品物って、なんかつまらんのです。
平均するとボツでも良いから、どこかしらにずば抜けた特技や才能を覗かせてくれる、
そんな一芸に秀でた魅力を持ってるようなスピーカーや楽器に出会うと、1社の
製品だけでは済まないようになっていくのでしょう。
これ一個で、これ一本で、何でも!・・・・って機種はないですからね。
そんな訳で・・・・、オーディオにしても楽器にしても追い求めて行くと、
好みによって最低2系統は必要な気がしてます。(゜O゜)☆)ヾ(-_-;) オイオイ
2008.8.28 記
< Back
|to Home|
|to Second Impact|
Next >