アコースティックかぁ?


 昔、『エレキギター』という呼び名に対して、アンプを通さない生音のギターは、 『生ギター』という呼称で表現されてました。
文字通りに電気的に音を増幅させることなく、その音色をマイクロフォンで拾って、 ライブでも使ってましたから、よくハウリングを起こしたりもしてました。
演奏スタイルを例えるなら、エリック・クラプトンの『MTV アンプラグド』がまさに その当時のスタイルそのものでしょうかねぇ。
当時、バーカスベリーなどの後付のピックアップもあって、ポール・サイモンも日本公演で かのD−35Sに取り付けていたとかありましたが、このピックアップは振動を拾って 電気信号に変えるタイプですから、イコライザーもしくはプリアンプを通さないと、 高音ばかりキンキンしてて、聴くに耐えない音のなってしまうという品物でもありました。
まあ、イコライザーやプリアンプを通したところで、生音を完璧に再現できたわけでは ありませんが、大きなライブ会場におけるSRや、他のエレクトリックな楽器との 競演においては、それなりに便利な品物であったと思います。
後に、ピックアップ内臓のオベイションギターが大ヒットしたのも、音響技術における、 そんな時代背景があったからなのかもしれません。

 最近気になってる事として、アマチュアのライブにおいても、ピックアップだけを 使った生ギターの収音方法が、全盛を極めてる事でしょうか。
はっきり申し上げまして、これは、聞くに堪えない生ギターの音なのです。
ピックアップから拾った音だけで、ギターをメインの楽器としたライブを行うなら、 高いギターは要りませんし、むしろエレキギターを使ってもらった方が、まだ マシなのです。
ハウリングの観点からすれば、ピックアップの使用は便利であることは 申し分ないのでしょうけど、ハーモニックス成分が消えてしまってるその音色は、 生ギターとは程遠く、エレキギターでしかありません。
ほとんどの場合で、自己満足だけの音の垂れ流しであり、生ギターの音を 美しく響かせようなどとは考えていない音作りとしか思えません。
ベンベンした音の伴奏で満足できるなら、きっぱりとアコースティックギターもどきは 捨てて、エレクトリックギターに持ち替えましょう!
そしてギターアンプで音色を調節した方が、ピックアップからダイレクトボックスを 通してミキサーに送って音を出すより、よほど好みの音が作れるますよ。

 生ギターの演奏で綺麗な音を聞かせてくれるプロは、使用しているピックアップも 一通りではないことが多く、また最終段階でどのような音色が出てくるかにも気を 配ってますし、専属のエンジニアもいらっしゃいます。
カッコだけまねすれば良いってもんじゃないんですよね。

 我が家にある生ギター、マグネチックなりピエゾなりのピックアップ系では、 その音色を完璧に再現してくれるピックアップは存在しないことを承知してますので、 仕込んであるものはありませんが、万が一、もし仕込むようなことがあれば、マイクタイプの ものでしょうね。


2008.11.4 記


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