思い込みと理解


 残留農薬濃度の高い食品を食べることは、体に良くないことだとほとんどの方が 認識されてます。
しかしながら、田畑に農薬類が撒かれ、それが気化したものを空気として吸い込んで、 体に害が及ぶと理解してる人は極稀です。
この両者の違いはどこから来てるのでしょう?
根本的に、『毒』は口から消化器系に入って体内に取り込まれると被害が出る ものであり、気体として漂ってるものを呼吸器から取り込んでも被害はない・・・・・ という誤った思い込みがあるのでしょうか?
殺虫剤を蚊や蠅に向けて噴霧すると、たしかに虫は死に至りますが、同じ空間に 居て噴霧された気体を 吸い込んでも、人間が死ぬようなことはないから、人には害がないと思い込んでる のでしょうかね?
事実として、ごく微量の殺虫剤を吸い込んだところで、人間は死にません。
これは毒性学的に、虫と人間では体重差が大きいですから、同じ分量を 吸い込んだとしても人間には死に至るまでの、急性毒性的な被害が出ない という事に過ぎません。
『毒』には投与直後から数日以内に発現する急性毒性の他に、半年から1年程度の 長期間にわたり連続または反復投与されることにより発現する慢性毒性があって、 こちらの方が実際には影響が大きいこと、ほとんど知られていません。

 最近流行ってる?、硫化水素による自殺、これは硫化水素を吸い込むことによって、 急性中毒で死亡する『毒』の影響です。別に硫化水素を発生させる物質を 口から食べてるわけではないのは、どなたでも理解できるでしょう。
『毒』を吸い込んで、それが肺に入って、そこで酸素と一緒に毛細血管内の血液に 取り込まれ全身をめぐり、そこの臓器や神経細胞に影響を及ぼして死に至らしめて いる急性中毒です。
これは硫化水素でなくても、青酸カリでも一酸化炭素でも同じであり、呼吸器から 『毒』を取り込むことによる、生物への影響です。
そしてこられの『毒』が薄い場合、急性毒性としての破壊力は低下しますが、 薄いながらも長期間にわたり連続または反復投与されてしまったら・・・・・・、 それは慢性毒性として人間に効いてきます。

 これから秋に掛けて農業地帯に漂う気化した農薬や除草剤成分、その原液を 飲めば人間が死ぬことは、理屈的な説明が無くても、どなたでも理解できるでしょう。
ではそれらが空中から散布されて大地や穀物に着き、気温の上昇に伴って気化して 生活空間に薄い毒ガスとして漂い、それを長期間にわたり連続または反復して 吸い込んでいたら・・・・・
農薬の原理は毒ガスです。オーム事件で有名になった『サリン』と、化学式として 非常に近いものもあります。そんなものが気化して空気に含まれて、それを 春先から秋まで反復的に吸い込んでるとしたら・・・・・・、どのような症状が 出てくるのか想像に堪えません。
またこれは農薬や除草剤に限らず、日常生活品の中でも同様のサイクルが 発生してる実情にも目を向けなければりません。
リン酸エステル入りワックス、そこから気化する成分は農薬と同等です。
界面活性剤、これを飲んで安全なはずはないですよね。しかしながらそれらを 主要成分として用いてる柔軟仕上げ剤や合成洗剤、生活市場では規制無く 使われてます。
そしてみんな、気化して生活空間に漂っています。
また最近の家は断熱効率の良い、密封性の高い外気遮断住宅、そこで 柔軟仕上げ剤など使ってたら、家の中は気化した界面活性剤だらけに なってしまいます。いくらシックハウスに気をつけてたって、自分で毒を 家の中に充満させてしまっていては・・・・・・

 小さいお子さん達は、これらの危険物質に対して大人より許容量が少ないのです。
もし花粉症が慢性毒性の結果として発症したものならば、その許容量の 少ない小さなお子さん達は、発症が早まるでしょう。
そして有害な化学物質に対する反応も、大人のそれより早く、症状として 出てくることになります。
家庭で柔軟仕上げ剤などを愛用してる皆様、小さなお子さんが情緒不安定な 行動などを起こしていませんか?、もし少しでもそんな傾向が見られるならば、 ご使用について是非中止されてください。
やめてみて初めてわかる、その強力な毒性があります。
口に含んだ場合に危険な毒でようなものは、使用しない方が良いのです。
シロアリ駆除剤だってそうですよね。
気化した薬剤でシロアリが死ぬような強烈な毒が、毎夜寝室の下から 舞い上がってきてそれを一晩中吸ってるとしたら・・・・・

 国が言ったから・・・見識者が言ったから・・・・安全だという思い込み、本当にそうな のでしょうか?
本質を見直して、理解しなければなりません。
信じるものは騙されます。


2009.4.30 記


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