共通項


 永いこと生きてると、人間同士のトラブルを見ることや体験することにも 何度か遭遇しますが、そんなトラブルの原因となる要素について、数学的に 言う 『共通項』 があるような気がします。
そのような共通項の中で特に強く感じる『くくり』として、『私の○○は一番!』 という思い込みの強さが挙げられると思います。
この場合の○○には、いろいろな単語が入ります。たとえば愛用してるギターの 型番だったり、車の車種だったり・・・、あるいは自分の主義主張でもいいでしょう。
とにかく、その方にとっての、お気に入りの一品や考え方を、固有名詞としたもの が○○に入るのです。

 人それぞれ、十人十色、千差万別ですから、好みにおいてはどのような選択肢も ありますし、どれを最優先に選んだところで否定はしません。問題となるのは、 その選んだ○○が、その方の思いの中では絶対的に一番であり、他所からの 客観的な指摘事項さえ受け入れられないプライドの高さと、大事にするあまりの 物欲の強さ、否定されることで揺らぐ自己信頼の低さから、理不尽に攻撃的になる ところにあります。
例として、自宅にはMartin D-45GEというギターがあり、自分にとってはお気に入りですが、 この機種について他人から、「鳴らない機種だ!」とか、「ロクな材料を使ってる 訳でもないのに高いだけの最低品だ!」などと、ボロクソに悪口を言われようと、 自分は気にしません。他人がなんと言おうと、自分では気に入ってる品物であって、 音質的にも本当に最高だ・・・・・なんて思っていませんもの。痘痕は痘痕に見えますし、 良いところも悪いところも承知してて、客観的に見られますからね。
ところが多くの場合、このような視点で見ていないというか、考えていない方のほうが 多いことを知りました。『私の○○は一番!』は絶対的であって、客観的観点から 不具合等を指摘されても、怒り出すんですよね。
また、その怒り出す理由ってのが、「お気に入りの○○をけなされた!」と 自己信頼の低さからくる被害妄想が要因なので、手の施しようがありません。
さらには言われたことに腹を立てて、くだらない揚げ足取り的な言い返し!
「貴方にわざわざ言われなくても、そんな程度のことは十分に承知してますよ・・・・」 ってことを、鬼の首を取ったかのように、大上段で攻め立ててきます。
おそらく、言われっぱなしでいるのが嫌だから、負けん気が強いから、 プライドが高いから、何とか論破で返そうと試みるのでしょうね、無意識の内に。

 これらを是正するには、まず相手の行ってることを客観的に最後まで聞くこと、 絶対に途中で感情を挟んで反論などしてはいけません、話の腰を折って迷走 状態に陥るだけとなってしまいます。その場の感情やプライドは邪魔でしかありません。 相手の言わんとしてることの主旨を汲み取って、それに対して意見として反論すれば 良いのです。
わかり安く言い換えれば、最後まで素直に聞くことです、これができないから、 トラブルになってしまうのです、挙句の果てに、被害妄想では、収まるものも 収まらないでしょう。
言い返さないってのも、強さですね。無駄な言い返しは、結局は自信を傷つけることに なってしまいます。事態の収束を図るなら、言葉を飲み込む強さも必要なんですよ。


2010.3.23 記


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