プリアンプ


 オーディオ用語です。
ご存知の方には何の説明も不要でしょうけど、私自身、プリアンプはけっこう重要な ファクターだと思ってます。
その筋に詳しくない方への説明も含めて記していきますと、オーディオのアンプ としては、レシーバー(アンプ)、プリメインアンプ、プリアンプ、パワーアンプとあって、 この他にフォノイコライザーアンプというものまであります。
要は、信号を増幅する部分をアンプと呼んでいるのですが、それぞれのアンプで 扱っている増幅度(GAIN)が違います。
これらの用語を簡単に解説しますと、レシーバーというのは、チューナー(ラジオ)機能を 含むプリメインアンプで、言い換えれば、プリメインアンプにチューナーが着いてきてる ようなものでしょうか。これひとつで全部まかなえることから、便利なことを優先する海外の ユーザーさんには好評なようで、海外に於いては一般的な製品となってます。
国産品でも、昔のシステムステレオなどは、ほとんどがレシーバータイプでしたね。
プリメインアンプというのは、プリアンプとメインアンプ(パワーアンプ)が一緒になったもの。
プリアンプはボリュームや入力セレクターを備えており、別命コントロールアンプとも呼ばれ ます。
扱ってる電気信号の大きさが、レコード針からの出力、0.1mA(ミリアンペア)程度から、プリアンプへ 伝送する200〜300mA(ミリアンペア)程度と小さくて、CDや、チューナー、テープ機器など、外部 からのライン入力はほとんどそのまま増幅されること無く、『ボリューム機能を介して』、 次段であるパワーアンプへ送られる形態となっています。
また、音色の調整をするためのトーンコントロール機能等を持っていたり、最近のプリアンプでは 省かれることも多いのですが、レコードの音を再生するためのフォノイコライザー機能、これが 内蔵、もしくはオプションで用意されてることもあります。
上記のフォノイコライザーアンプとは、このフォノイコライザーが単独のアンプとして、最終的には ライン出力機器として作成され、別売になってる場合を指します。
パワーアンプはメインアンプとも呼ばれ、主な役目はスピーカーを鳴らすことです。
出力として、真空管でのシングル増幅の8W(ワット)と小さいものから、2KW(キロワット)以上と 巨大なものまで製品があり、一般的にその価格と出力の大きさは比例しています。
また増幅における動作点の取り方の違う、A級増幅方式、B級増幅方式があり、歪の発生が少ない 良質な音質が得られる代わりに、効率が悪くて出力の小さいA級アンプと、効率よく大きな出力が取れる B級増幅のアンプがあって、その旨のことわりがない限り後者がほとんどとなってます。

 オーディオマニアもどきの場合、プリアンプは増幅がなくてパワーアンプへの信号伝達だけ の役割なので、中間に入って音質の劣化を招くだけだから、性能の良いボリューム装置(フィーダー)が あれば十分であって、プリアンプは不要である!・・・と考えてる方も居りますが、これは 大きな間違いです。
上記の説明でも、『ボリューム機能を介して』とあるように、増幅の無いフラットアンプとしての 資質も求められていて、接続する機器の入力変化(入力インピーダンス)に対して、出力の大小が 変わっても信号的に特性が変動しないように、安定して供給できることも重要なファクターなのです。
ですから、優秀なプリアンプを用いると、CDプレーヤーからボリュームを介して直にパワーアンプへ つないだ場合よりも、プリアンプを通してパワーアンプへつないだ方が、音が良いことも 当然のごとく在るのです。
プリアンプにはコントロールアンプとしての役目以外にも、中間に入って接続を行う、 インピーダンス変換機としての役目もあるんですね。

 元来、扱う信号の大きさが異なるので、それに見合う電力やノイズの問題から内蔵の回路に 影響が出ないように、また、より専門的な役目に徹底した方が良い結果が出せるので、 プリアンプ、パワーアンプと分かれて作られたわけです。
プリメインアンプやレシーバーなどは、その利便性から、またコスト面からもひとつにまとめた方が トータルで安く上がるのもあって、大衆向けコストダウン製品として作られた製品でもあります。
そのグレードや、メーカー、機種によっては、下手なセパレートアンプを凌駕する製品も確かにありますが、 本格的に作られたプリアンプやパワーアンプに大きく勝る製品は、実質上在り得ないでしょう。
メーカーだって、フラッグシップとして全勢力を注いで造ったものを、市場に送り出すわけですからね。
コストパフォーマンスの高いリッターカーが、そのメーカーの最高グレードの車に勝ってるようでは、 マズイんですよね。
ですから、プリアンプ、パワーアンプとしてセパレートアンプを選ぶなら、安価なセパレートアンプ としての体裁だけの製品ではなくて、自身の用途や好みに応じた、可能な限りハイグレードの 本格的な製品を選ぶべきなのです。
セパレートアンプという理由だけで安価な商品を選んでいると、安物買いの銭失いで 終わってしまいます。
同じメーカーの製品で、プリアンプとパワーアンプの価格を足したものよりも、同等か少し安い プリメインアンプが在ったとしたら、どちらが音質的に優れてるものであるか、お考え下さい。
メーカーが異なると、話はまた別になってしまいますけどね。


2010.5.12 記


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