マスキングが外れると


 マスク、英語で書けば『Mask』で、一般的な意味としては顔を覆うものでしょうか?
風邪や花粉症では必需品のマスク、同じ言葉でもプロレスの世界では覆面になります。f(^^;) ポリポリ
キャメロン・ディアスがブレイクした、ジム・キャリー主演の映画、『マスク』もありましたよね。(*^_^*)
まあ要は、表面を覆うカバーであることは間違いないでしょう。
そんなマスクに『ing』が付くと、masking(マスキング)になり、『保護するために覆うこと』という 意味になります。

 マスキングという言葉、塗装業界や音楽業界でも使われることがありますが、ここでは 『化学物質過敏症:ケミカルセンシティブ・略してCS』(以下CS)における使われ方として説明 したいと思います。
同じ『マスキング』という言葉で、二通りの意味が存在します。

 ひとつは、CSの症状が分からないように覆われている (マスクしている) 状態の事。
有害化学物質を体内に蓄積し続けているにもかかわらず、大きな症状が出ずに健常であるように思えるレベルであり、 体が体調を取り戻そうとして、化学物質と闘っている段階でもあるのです。
そんな状況で、解毒の内服薬を飲んだり、生活用品全般をノンケミカルな安全なのものに切り替えたりして 一旦全部排除してしまうと、マスキングをすることを体が辞めてしまって(これをマスキングが外れると称してます) 自身の体に害がある化学物質について敏感に感じ取れるようになります。

 体が化学物質と戦って、症状に対してマスキングをかけていたわけですから、その負荷である 化学物質が体内から解毒され、もう不必要となったマスキングが外れれば、二度と有害物質を体に入れるなと 体が敏感になって・・・・通常に戻って・・・・・強烈にサインを発するわけです。
このマスキングが外れて過敏になった時期、さらに体調が悪化したとして内服薬をやめたり、元のケミカルな 日用品に戻してしまっては元の木阿弥で、暗黙の中で悪化が進行して行くのです。
マスキングが掛かったまま徐々に悪化が進行すると、突然に爆発してその段階ですでに『手遅れ』となり 沈没するようなものです。以後は重症のCS患者となって、通常の人としての生活が営めない状態にまで 陥ります。

 もうひとつの意味は、単に言葉通りの、微量な臭気に対しての覆い(フィルター)が外れて、自然のままに 感じ取れることを言います。
分かりやすい例としては、タバコの煙、これを刺激臭として感じ取れるかどうかと同じです。
喫煙者の方には、自身の衣類に付着したタバコの臭いが分かりません。ところがタバコを辞めると、 それが分かるようになり、さらに喫煙経験のない非喫煙者より、過敏にタバコの煙を嫌悪するように なったりもします。
これと同様に、普段の暮らしの中で、合成洗剤や柔軟仕上げ剤、除草剤、防虫剤などに囲まれて生活 していると、鈍麻するとでも申しあげましょうか、それらの臭気に対して鈍感になり区別が付きません。
ところが、それらの有害化学物質を身辺から遠ざけると、嗅覚が普通戻るのか、臭気としての 区別が容易にできるようになり、これもマスキングが外れた状態であると言えます。

 また、普段の生活が化学物質まみれであってもCSを発症しない方も多くいらっしゃいますが、 こちらは過敏にならず鈍くなっていくのか、非常に強力な臭気であってもそれを感じ取ることなく、 無制限に体に取り込んで生活されてます。しかしながら、身体に危険な有害物質を取り込み続ければ無事で 済むはずも無く、やがてはガンやリュウマチ等の成人病等を若くして突然に発症したり、 あるいは躁鬱で精神疾患として、心療内科のお世話になってしまってる場合が多いのかもしれません。?

 マスキングを外して、有害物質を感じ取れるというのは大事な事ではありますが、同時に 自分達の生活圏が、いかに腐海として大気汚染されているかを実感することでもあるのです。
マスキングが外れると、電車に乗っても臭くて臭くてたまりませんし、農薬を撒く時期や野焼きの時期においては、 壮大な大気汚染を感じられます。
人類が、自分で自分の首を絞めてるのを実感できますよ。


2011.1.14 記


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