こだわるなら


 自分の趣味であるオーディオ、スピーカーのセッティングにおいて、 床からの影響は非常に大きいことは知ってます。もちろん、周囲の壁などからも 影響が生じますので、スピーカーを置く場合には、周囲から1メートル以上の 空間を確保できるか、あるいはその壁の影響も含めてセッティングできれば より効果的な場合もあることを、昔、BOSE901を使ってて実感しました。
五味康祐御大が愛用してたオートグラフなどは、元来モノラルスピーカーであり、 部屋のコーナーにおいて、壁からの影響を含めてセッティングするタイプですからね。

 なので・・・・、道楽を極めて部屋をリフォームする時に、こだわりのオーディオ用 スペースを造ることにしました。また、同じ空間にグランドピアノも置いて、ステージも 兼ねた空間としますので、ヤワな床では耐えられないでしょうね。
ということでステージの床に関しては、土台の高さまで木材を組み上げるのではなくて、 16畳の広さすべてをコンクリートで固めることにしましたが、施行を行う際に床となる 部分のタイルを剥がして掘ってみると、すでにそこには建物の土台としてコンクリートが 数十センチの厚さで打ってありました。
これ幸いと周囲に枠を作ってもらい、その上にコンクリートを流し込みましたので、 トータルで約1メートルのコンクリートの厚さを持つ、ステージ部分の出来上がりです。
表面には木材を貼り付けましたが、化学物質過敏症が悪化しないように、接着剤は 用いずに、コンクリートに木材をネジ止めしてもらいました。
さらに部屋の周囲には側溝を設けてあり、配線類はその中を通して目立たなくして あります。

 かくして自分の理想とするオーディオ・スペースが出来上がりました。
ステージ上で飛んだり跳ねたりしてもびくともしませんから、LPレコードを掛けてるすぐ横で ジャンプしても針飛びは起こらず、ハウリングマージンの大きいこと!
また、JBL4344はスピーカースタンドを使って床から20センチほど離してありますが、 そのスタンド自体も鉄の無垢からの削り出した円柱形状をしており、1個あたり17キログラムあって、 剛性が非常に高く、ちょっとぐらい叩いても音が出ません。
これで床からの影響が無視できるようになりましたので、あとは周囲の壁からの反射等ですね。
JBL4344、スピーカーの左右と後ろからは1メートル以上あけて設置してみましたが、 結果は良好です。
TANNOYのSTIRLING TW、こちらは専用のスピーカースタンドに乗ってますが、容易に 移動できるようにと、オーディオラックの棚板にキャスターを3個取り付けた、手作りの 台車の上に乗せました。
床がしっかりしてるのでキャスター付き台車の上でもほとんど問題は無いようです。
キャスターが4個ではなく3個なのは三脚の原理です。4点で受けると1箇所は必ず浮いて ガタガタしますが、3点で受けるならすべて接地できますからね。
STIRLINGは移動が容易なので、JBL4344と同等の条件で周囲からの影響が無い状態、 部屋のコーナーにおいて、反射により低音の増強が得られる状態と試してみましたが、 後者の方が持ち味が発揮されるようで、通常は部屋の隅っこにセットするようになりました。
左右の間隔が約7メートルほど開いてますが、視聴位置で聴いて、センター抜けの音像定位は 感じられません。

 スピーカーは新設したステージの上にあり、音楽を聴く位置は従来のリビングルーム位置 ですから、スピーカーまでの直線距離はJBL4344で5メートル以上、STIRLINGでは 6メートル以上あります。またリスニングポイントの後方も5メートル以上の空間がありますから、 室内の反射による影響というものは無い感じですね。
オーディオという趣味、あらためて、これだけの距離と空間は必用なものであると実感して おります。理想を求めて作ったステージですが、ステージに上がってオーディオを聴くと それほど良いとは感じません。スピーカーからの直接音が強すぎるのか、音響としての まとまりが無いのかはわかりませんが、イマイチつまらない音で鳴ってるように聴こえます。
五味御大がその著書で、「8畳間でパラゴンを聴いた、嫌な音だった」と書かれてますが わかるような気がします。
ステージ上程度の広さ、16畳の空間だけで聴くなら、もっと小さいスピーカーの方が良いような 感じを受けるのは確かですね、STIRLINGでも持て余してしまいます。
大きいスピーカーを鳴らすには、それなりの空間ボリュームも必用だと思いますので、 オーディオにこだわるなら・・・・・・、 部屋を含めてセッティング、あるいは、部屋から 作らなきゃなりませんね。


2011.8.8 記


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