病名が悪い?


 化学物質過敏症って・・・・、いままでこの病について、何度同じような ことを述べてきたか覚えていませんが、誰にでも発症する危険性はあると 口を酸っぱくして言い続けても、一般にはご理解いただけないし、自分達に 限って絶対にそんなことは無いと、簡単に否定されます。
そもそも名前が正しくないんじゃないかと思えます。『過敏症』って言葉 から連想するのは、敏感になることを推測しますよね。たしかに 極わずかの有害化学物質に対して、アレルギーのような反応を示すのが 化学物質過敏症という病ですが、実際には神経系統に作用して、様々な 症状が、本人にとって弱い部分で病状として現れてきます。
神経の壊れ方って、通常は正しく制御されてるものが、制御不能、暴走を 起こして、極端な場合では完全にオンになる、オフになるの二通りであり、 『過敏症』という言葉がもっともマッチングするのは、嗅覚などがオン側に 傾いて臭いに敏感になって、何事も臭くてたまらないという壊れ方を する時でしょうか、同時にそれ以外の神経系統に於いては、オフ側になる 壊れ方をしていて、体には別の症状として出ている場合もあるのです。


 軽度の罹患患者である前様の例を上げると、有機溶剤や殺虫剤、プラスチック 臭など、極わずかの臭気であっても「臭い!、臭い!」と叫びまわって 過敏症症状を示しますが、同時に体の方ではオフになる神経作用によって、 血圧低下、思考力低下を起こして動けなくなります。
自分の場合には、臭気にはそれほど反応しませんが、症状として血圧が 上がりますね。心臓もドキドキしてくるのがわかります。
つまり、人によってそれぞれ症状は異なりますが、神経系統に作用してるの だけは確かで、それがオン側に壊れるか、オフ側に壊れるかだけなのですよ。
ゆえに、『化学物質過敏症』ではなくて、『化学物質障害』と呼ぶ方が フィットするんじゃないかと思う次第ではありますが・・・


 この病で厄介なのは、過敏にならずに鈍感になっちゃう場合で しょうね、嗅覚が!
嗅覚が過敏になって、わずかな化学物質の臭気に「臭い!」と反応できれば、 危険を察知して逃げることも可能で、体内に取り込む量が少ないうちに 避難することで症状が重くなるのを防げますが、麻痺して鈍感になって しまうと、その危険予知ができないわけですから、体が悲鳴を上げるまで、 重篤な病状として現れて来るまで、危険な化学物質を取り込んで体内に 累積してしまいます。
柔軟仕上げ剤に含まれる合成香料など、化学物質過敏症の患者さんから 言わせれば、『卒倒しそうな刺激臭!』と感じられる類が、一般人には 『良い香り』と感じられてたまらない・・・・、ということですが、 仮に1ヶ月、柔軟仕上げ剤の使用を止めた生活を試みて、その後に臭いを嗅いで もらうと、実は強烈な刺激臭であったことを確認できたりします。
タバコの禁煙に成功した方が、後日タバコの煙に強い嫌悪反応を示すのと 同様に、常用中は嗅覚が麻痺しててその刺激臭さえわからなかったのが、 体から一定期間除去されることでマスキングが外れて体が綺麗になって、 次からは、体が二度と受け付けてくれるなと拒絶反応を示すのと同じでしょう。
途中にこの覚醒が起こらない限り、有害化学物質を毎日少しづつ体内に 取り込み、蓄積していく日課が延々と続くわけです。
そして症状として出てしまった時には、すでに重症で手遅れとなってるのが、 原因不明の体調不良、今迄見てきたパターンでもあります。


 さらに辛辣なのは、症状が精神的な面に発症を起こしてくる場合でしょうか、 何しろ脳神経にも作用するのですから、躁鬱だって何だってありです。
神経が過敏になれば、通常レベル1程度のストレスが、レベル10として 感じられる事もあって、普通の人にとって何でもないものが、大きな ストレッサーとして立ち塞がる訳ですから、たまったものではありません。


 神経作用がオフなら鬱になって行動不能、オン側では躁による 制御不能の多動傾向となってしまい、じっとしていられません。
精神面に限らず2面性を持って各所に様々な症状が出るので、自分の 専門範囲しかわからない、視野の狭い医療従事者では判断が付けられ ないでしょう、原因不明の不定愁訴で処理されて終わりです。
また、神経系統の制御不能状態を精神疾患と捉えて、根本原因を 取り除かずに、神経をコントロールする薬、向精神薬を投与して何とか しようとしたところで、上手く中央に納まるはずはありません。薬の 副作用でより複雑に壊れる一方となっていきます。


 この病を発症してしまったら・・・、10人の医者に診てもらえば、 十人十色の診断がつくかもしれません。
信じるものは騙される。
どの診断が自分にとって正しいのか、判断するのはご本人です。


2012.12.6 記


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