会社員としてのお仕事


 今年の11月で職場における定年を迎えますが、これまでの自分が 成してきた仕事を振り返ってみると、存分に自分のアイディアを盛り込んだ、 マニアックなシステム設計をしてきたような気がします。
業務内容として形になるものじゃなくて、あくまでも機械を動かす裏方 ですから、動いて当たり前であり、目立つことは何一つありませんが、 よくもここまで平穏無事に、実際に機械を使用するユーザーから、ほとんど 文句を言われないシステムを拵えて来たな〜と自負するのであります。
入社当時に居た前職からの先輩が作ったシステム、掘削力のない掘削機とか、 振動だらけの介護用医療用ベッドとか、動くことは出来たけど、用途として 使い物にならない機械ばかりでした。
また、自分がシステム設計をする以前の機械は、油圧機器を商社から 購入するに当たり、油圧機器を動かす電気システムを、その商社の 出入り業者に制御盤として作った上で納品してもらっていたので、 実際の機械に要求される操作性や耐久性、メンテナンス性等とは かけ離れてしまい、けっこうなトラブルがあった様子です。
入社して半年、新入社員故に、繁盛期に営業所の現場の応援に行かされ、 そこの所長から「こんな機械作りやがって!」と、訳の分からないお叱りを 受けましたっけ。
自分がシステム設計を担当するようになってからは、電気シーケンスだけで なく、操作性やメンテナンスについも配慮して図面を描いて、それを商社に 出して製造してもらっていたので、それまでの機械と比較すると、 耐久性や操作性などが飛躍的に向上して行ったのは確かだと思えます。

 1980年代の高度成長期、そんな時代でしたから機械の需要も多くて、 次から次へと新たな機械を設計しては、試運転調整で出来上がったばかりの 機械を動かしてました。作る数が多かったから必然的に勉強にもなるし、 試運転時の不具合対応でノウハウも蓄えられるわけです。
大手のメーカーさんが作った新型の機械、その動きから制御を分析して、 同等のシステムを考えだしては大手メーカーの製品と同じになる様に、 自社のオリジナル商品を進化させていった事が大きかったでしょうか。
自分で作ったシステムですから、機械の不具合症状を聴けば、何が悪いのか 瞬時にわかりますので、オリジナル機械の整備をされてる方達からは、まるで 神様のように見られてることも記憶にあります。
それまでは大きなレバーをガッチャンと操作して、オンオフで操作していた 油圧で動く機械の世界を、電気的な制御によって、小さなスイッチ一つで 滑らかに且つリニアに動かす世界に替えてきたような感じでもあったりします。
景気が良い時代でしたから、大手の航空会社にも受注生産のオリジナル 商品を随分と販売しました。空港という場所で使うので独特の制約があり、 また各航空会社によって要求仕様が違うので、それに応えるべく、その時々 に於いて頭の中をフル回転させてシステムを作り上げ、納品してきました。
何度も書きますが、システム設計としては動いて当たり前なので、 けして目立つ仕事ではなく、それでいて客先の複雑な要求にも応え なければなりません。場合によっては理不尽な要求をされることも ありますから、それを論理整然と客先に説明してご理解をいただき、 こちらからの提案をお奨めして了承をいただく場合も有りです。
苦労して作り上げた機械を納品して、お客様から「便利だね」、「使い やすいね!」って言われるのが一番の喜びであったのは間違いないですね。

 そんな影のような、機械屋さんのおまけみたいな職種ですから、表立って 目立つわけでもなく、動いて当然の結果ゆえに、上司に制御に関する 理解が無いと出世することもありません
その昔、当時の上司に「男は機械図面を描け!」なんてことを言われた 事もありましたっけ。電気配線図にある記号やシンボルだらけの 図面を描くことは、仕事として認めてくれなかった様子です。
その後に退職されて上司は替りましたが、出世しないのは相変わらずで、 とうとう万年課長待遇のまま、退職を迎えそうであります。

 職場で存分に力を発揮して来たのかと自問してみれば、おそらく 自分の全能力の30%くらいしか、普段は使ってこなかった気がします。
それ以上の能力を使うほど、仕事内容の質が高くないってのもありま した。何しろ制御屋さんですから、動く側の本体である機械の動作が つまらないものだと、それなりにしかできません。
バカな機械屋さんが作った機械はバカです、動かし甲斐がありません!
と毒を吐いたところで、正社員で居られのもあとわずか・・・・。
書いたところで理解はされませんが、 長い間に蓄積された業務上の感どころ、要求仕様を聴けば、それを 満足する制御システムを組み上げて、部品を選んで、機械として より良いものを作り上げる能力、そんなに低くはないみたいです。
定年でスパッと辞めちゃうと、新規設計による複雑な動作を要求される 機械、そうは容易く作れなくなるでしょうな。 まだまだ後輩達に伝えなくちゃならないノウハウは沢山残ってます。 伝えたものを理解して活用できれば良いんですけどね〜。
あと少し、もう少し・・・・・。


 サラリーマンとしてお勤め人できるのは、どんなに長くてもあと5年。
その後は何をしませうか?
場所と機材はある程度揃ってるけど・・・・。(^◇^;)> イヤァ〜

2015.4.12 記


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