セルフカバー?
シンガーソングライターなどが、昔に発売した自分の曲を、時を経て再度
録音し直して新たに発表することをセルフカバーとか言うらしい。
クラシック音楽でも、かのグレン・グールドが、1955年に録音して
大ヒットさせたデビュー盤の『ゴルトベルク変奏曲』、亡くなる1年前の
1981年に、今度はデジタル録音で再録音してまたまた大ヒット、
レコード史上、不朽の傑作とまで言わしめることとなって、グラミー賞まで
受賞した、遺作とも取れるようなセルフカバー作品でありますが・・・。
まさか自分も、大昔に作った機械を、同じく26年の時を経て、システム設計を
再度行うセルフカバーみたいな設計作業に巡り合うとは!
年次定期点検で毎年勤務先の工場へ入って来る高所作業車の販売機械、
さすがに26年間使い続けて経年劣化してる部分もあり、交換部品も手に入り
辛くなった事から、営業さんが代替えを勧めたところ今回の受注につながった
みたいで、26年前からの仕様をキープした状態での新設計となりました。
グレン・グールドのゴルトベルク変奏曲の再録音も、まずピアノがスタイン
ウェイからヤマハに変わってますし、真空管機材と磁気テープを使った
スタジオ録音から、半導体やICで構成された電子機材でのデジタル録音、
同じ曲であっても全く異なる録音環境であるように、26年前と現代では
手に入る部品も全く違いますから、昔の設計図で同じものを作る訳にも
いかず、現在入手できるものを使っての新たな設計であります。
昔の設計では、毎月量産で作っていた高所作業車を改造して要求仕様に
合わせてましたが、現在は量産していない機種なので、すべて要求された
仕様に合わせて新規に作らねばなりません。
また昔使っていたDCモーターなどは、製造メーカーでも生産が終了していて
同じものは入手できず、代替えとなるものを探し出して購入するしかない
ですな。
他の油圧部品や電装部品も同様であります、昔なら量産してたからいくらでも
手に入った油圧の比例弁のドライバーなど、作っていた電気屋さんが無く
なっちゃいましたから、補用部品としてはまだ持ってるけど、新規製作品に
使う訳にもいかず、油圧回路自体もゼロからの作り直しですな。
カタログを抱えながら、CADと格闘する事丸三日、油圧回路図ができあがり、
続けてCADと格闘する事丸四日で、自分で描き上げた油圧システムと、
客先からの要求使用を満たす動きが出来る電気回路図が描き上がりました。
会社としては非常にお得な雇用だと思えます、なにしろ高所作業車の
電気・油圧システムの設計ができる人間を、定年退職後の再雇用で、それまでの
半分の給料で雇えてるんですから。しかも38年も勤務してるので、
設計製造上のノウハウは熟知していて、黙っていても細部まで完璧な設計は
出来上がりますし、ミスや失敗はほとんどありません、もしあっても容易に
カバーできてしまうレベルでせう。
そしてこれが、この勤務先における自身の遺作作品となるかどうか、近日中に
死んじゃえばそうなる訳ですが、こればかりは現時点では神のみぞ知るって
ところですな。
少なくても現在入院してて28日(土)が退院予定となってる、歩行困難な
97歳のクソジジイより先に逝く訳にはいかない・・・・、とは思って
いいるのですが!
2019.9.20 記
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