T34
映画館でT34の映画を観てきた。ソビエト中戦車T−34を物語の
中心に置いた映画で、子供の頃はタミヤのプラモデルで育った世代、
戦車がでてくる映画には引かれるものが多いのであります。
初めてT34という戦車を知ったのは、タミヤの1/35シリーズの
モーターライズ戦車のプラモデル、たしかT34ボルガという名称で、
キットの箱絵は小松崎茂氏のイラスト、白いT34が描かれていた記憶が
あります。ボディの側面に手摺があるけど、模型ではモールドでそれらしく
見せるだけで省略されていたので、虫ピンを曲げて取りつけたのを覚えてます。
後日発売になった1/25のT34ではちゃんと部品として付属して
ましたので、追加工の手間は不要でしたけど・・・。
大阪万博が有った1970年、中学校の3年生の頃でした、ちょうどその頃
ソビエトの映画で『ヨーロッパの解放』という全5部構成の映画の第一部と
第二部、『クルスク大戦車戦』『ドニエプル渡河大作戦』が封切となって、
戦車マニアとしてはいても立っても居られず、映画館に観に行って、本物の
戦車の動きに驚いたものでした。
プラモデルではゆっくりと動いてる戦車が、ラリーカーみたいな動きで
大地をかっ飛んで行くのですよね、まさに小松崎茂氏のイラスト通りみたいな
動きで、圧倒されました!
なにしろソビエトと言えば共産圏で映画会社も国営企業、戦車の実車は沢山
出て来るし、それを遠慮なく壊したり河に沈めたり、飛行機かヘリにカメラを
積んで、これでもかと戦隊を組んで走る戦車群の映像が納められてるのには、
ただ驚愕するしかありませんでした。
そんな映画の主役でもあるT34について、プラモデルの組み立て説明書に
記載されてる解説から始まって、専門書みたいな文林堂の戦車写真集の本から
調べて行くと、機械好きな男の子なら興味が沸くような機械構造の進歩や、歴史
的変遷が、これでもかとてんこ盛りです。
第二次世界大戦において、『電撃作戦』と呼ばれる戦法でドイツ軍は
ヨーロッパを鎮圧して行ったのですが、その矛先を止めて、ドイツを敗北へと
導いた立役者がT34という戦車でもあります。
ドイツ軍が連戦連勝で勝ち進んでいたころの主力戦車は3号戦車、これに
火力支援の4号戦車や歩兵専用の2号戦車などが加わっておりましたが、
これらの戦車の外見的特徴は四角四面、四角い鉄の箱に砲塔を乗せたような
戦車ばかりで、そんなドイツ軍にやられっぱなしのソビエト軍でしたが、
新型戦車T34は違いました。
ボディの形状に被弾傾斜を有する斜めのライン、これにより砲弾を弾き易く
なり、かつ実質的に装甲が厚くなって防御性能を向上できたのです。
さらにエンジンがディーゼルエンジンになり、ガソリンを使わない事から
被弾しても炎上する危険性から軽減できましたし、ディーゼルエンジンですから
点火プラグなどもなくてメンテナンス性、整備性も向上。
比較すると、当時のドイツ戦車はすべてガソリンエンジンでしたから、
安全性、防御面に於いても格段の差があったわけですな。
また構造がシンプルで、非常に量産性が高く、総数で60000輌弱が
戦時中に生産されてます。これは当時のドイツ軍の戦車保有台数の4倍に
当たる数字でもあるとか!?
四角四面で構成されてきたドイツの機甲師団が一気に陳腐化してしまいました。
T34の正面装甲には、当時のドイツ軍の主力である3号戦車の50mm砲
では通用しませんし・・・・、新型重戦車のティーガーTや、長砲身の75mm
砲を装備した4号戦車や3号突撃砲などが出て来るまで、ドイツ軍はなす術が
無かったんじゃないかと?
捕獲したT−34からドイツ軍も研究を重ねて、同様の被弾傾斜を備えた
パンターやティーガーUを開発して来ましたが、量産性という意味では
T34には勝てなかった様です、さらにまた強力な85mm砲と、3人が
搭乗できる理想の大型砲塔を搭載したT34/85も出てきて、以後は
上記に記載した映画の通りになったのかと思います。もっとも『クルクス
大戦車戦』ではT34/85が活躍してましたが、その当時の戦況では年代的
にはまだT34/76だったはずでありますが・・・・・。
とにかく、T34という戦車は、走、攻、守の3項目と量産性という
4拍子が揃った傑作戦車だったことは間違いないでしょう。その数年後の
朝鮮戦争でも、T34/85で攻めてきた北朝鮮軍に、国連軍、実質は
アメリカ軍の、M24チャーフィーの75mm砲では苦戦した様子で、
76mm砲を搭載したM4A3E8シャーマン・イージイエイトや、90mm砲を搭載したM26パーシングに、
航空戦力の援護があってどうにかなった様子でもあります。
電子制御を持たないレトロな兵器でもある故、今でも貧乏な紛争地帯では
第一線で使われてるT34/85、自分の仕事面でも学ぶことが多い
事柄を持った機械でもあります。
古い映画としては『鬼戦車T34』も良かったですが、日曜日に観た
『T34』、邦題:『T34 レジェンド・オブ・ウォー』も実に
楽しめました。
またガルパンと、ヨーロッパの解放の5部作も、ホームシアターで見直して
みようかと思います。
2019.10.28 記
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