あぁ〜、あこがれの・・・


 1960年代の後半からフォーク・ブームはやってきた。
戦争に反対し、体制に反対し、メッセージソングを歌い、伝えるために起こったブームかも しれない。
日本では学生運動が盛んだった。
今、団塊の世代と呼ばれるおじさんたちの多くが、学生運動に熱中していた。
やたらと暗い「反戦歌」があちこちで歌われた。
個人的には、音楽性が感じられない歌詞だけのものは嫌いである。
曲として魅力がなかったら音楽ではない。

 70年代、ギターを始めた高校生たちにとって、ブルーケースに入ったMartinは あこがれであったと思う。
ギター好きなら、ブルーケースを抱えて街を歩く自分の姿を、誰もが夢見ていた時代なの かもしれない。
だが、高校生などがおいそれと買える値段ではなかった。とてつもなく高価だ!
チェーン店のみそラーメンが一杯¥200代の時代に、D−28が¥320000、D−35が ¥340000、一番安価なD−18でさえ¥250000の定価が付いていた。
御茶ノ水の実売価格で、定価の2割引きとは知っていたが、それでも手が出る価格ではない。
アルバイトの時給が¥300そこそこの時代である。(~_~;)

 しかし、それでもMartinは売れた。
プロと呼ばれる人たちが使い、そのプロにあこがれる若者たちが、プロと同じ物をと購入する。
年代別生産本数のグラフをみると、68年から急激に右肩上がりになっている。
フォークソングも変化して行く。
反戦歌一辺倒だった時代から、愛や恋を歌うようになる。ニューミュージックとも呼ばれた。
日本のあちこちで、「フォーク村」が誕生していった。

 アイドルともなったフォークシンガーたちのインタビュー記事で、Martinの材質が70年から 変わった事を知る。購入する時に、古いモデルにしようか、新しいモデルにしようか悩んだが、 古いモデルの音が気に入ったので周囲の反対を押し切りそれを選んだが、結果として良かった・・と。
サイド&バックがハカランダのものを選んだ結果であろうが、まさかその時は現在みたいに ハカランダが高騰してるとは、夢にも思わなかっただろう。

 1978年10月、自分でもMartinを手に出来る日がやってきた。
すでに学生ではなく、Martinの生産本数グラフも右肩が下がっていた。
付属のケースはブルーケースではなく、ブラックだった。
使い勝手がイマイチ良くないので東海楽器のレプリカケースを購入し、ブラックケースは ガールフレンドにくれてしまった。
D−35、それなりに鳴ってくれたが、チューニングが合わせ辛かった・・・・というより、 合わなかった。カポなど使えば、6弦の音程は必ず高くなってしまう。

 後日教わったことだが、70年代のMartinは欠陥があったそうだ。(○o○) ドキッ
説によると、ブリッジの貼り付け位置が正しくなく、2mmほどサウンドホール側に 拠っているとか・・・・、修正するにはブリッジを貼り直すか、サドルのミゾをきり直して ボトムが側に移設するしかないと・・・・。
音が合わなかった理由がわかった。(´ヘ`;) ハァ

 1985年、海外出張に行きHD−28の良いものを見つけたが、お店の委託契約上の 都合で連れて帰ることができなかった。その腹癒せに購入目的でお茶の水に行き、 D−28を何本か試奏させてもらったが、手持ちのD−35にさえ遠く及ばないと感じたので がっかりして手ぶらで帰ってきた。SQロッドはAJロッドに変わっていた。

 ある日、ブルーグラス好きな会社の同僚が、新品のカスタム15?を持って遊びに来た。
御茶ノ水にふらっと行って、楽器屋で買う気も無いのに特売中だからと試奏を奨められ、 ポロンと弾いたら気に入ってしまい、金銭の事は考えずに購入を決めたそうだ。
もの凄い音がしていた!自分の愛器D−35がまったく勝てそうになかった。(~_~;)
ペグ以外はまったく不満のなかったこのD−28(カスタム15?)、遺品として、やはり ブルーグラスの好きな、彼のお兄さんが所有している。(−||−)合掌

 1995年8月、USAからサンタクルーズTRがやってきた。(^^ゞ
無意識のうちにD−35と比較してしまう自分がある。
カスタム15?を弾かせてもらって以来の衝撃が走った。
17年間愛用していたMartin D−35より、つい先日届いたばかりのTRの方が、はるかに 鳴ってるように聞こえるのである。(;°°)ワーッ!(O_o)WAO!
もう、Martinはいらないと思わせてくれた。
自分の中にあった、Martinへのあこがれが消えた!


 しかし・・・・、これで終わりにならないのがヤクザな道!(~-~;)
2000年にはD12−20を入手し、その年の暮れには45GEを発注していた!
さらに、2003年の初頭にはOMC−18VLJも購入してるし・・・・
やはり、Martin 要ります!!!ヾ(-_-;) オイオイ



参考関連記事

24. ヴィンテージ・・・って 2004/6/30

29. ロッドもいろいろ   2004/7/22

Guild F−512:「さらばD−35、70年代Martin」


2005.1.26 記


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