スキャロップ


 ギターの表面板の裏側には、ブレイシングと呼ばれる補強の木材が 貼ってありますが、貼り方もいろいろで、主にファン・ブレイシングと エックス・ブレイシングに分けられます。
前者がクラシック・ギターのように弦のテンションの低い場合、後者が スチール弦の使用などでテンションが高い時に使われますが、 スチール弦用のファン・ブレイシングを採用した機種も当然あり、 必ずしも厳密に分けられてると言う物ではなさそうです。
自分の目や耳で直に確認できるものではないので、本当かどうかは 存じませんが、エックスブレイシングはMartin社の発明だそうです。
とりあえずあとの話の展開上、そうしておきましょう!(゜゜;)\(^^;)コラコラ

 その昔、ブレイシングは表面板に貼り付けられた後に、職人によって 波型に削られました。その削られた形がホタテ貝のような形状だったので、 スキャロップ・ブレイシングと名前がつけられたそうです。
第二次大戦以前に製作されたドレッドノート・スタイルの機種は、すべて このスキャロップ・ブレイシングが採用されていて、戦後になって 廃止されたようです。
では、なぜ廃止されたのでしょうか?(- .-)ヾ ポリポリ
補強材の形状が変わる訳ですから、当然音質や強度にも影響するでしょう。
それまで職人さんがノミを使って一つづつ仕上げていたスキャロップ、 まあ、その手間が無くなれば、人件費的に安くなりますが、終戦後から 50年代にかけて、USAが豊かな時代、大排気量のガソリン撒き散らしの 車が平然と走っていた背景に「無駄を省いて・・・・」と考えるのは ちょっと違うような気がします。
Martin社の製作本数が右肩上がりに上がってきたのは60年代の 後半からですので、当時の年間の製作本数や販売価格から推測するに、 そのような手間など簡単に吸収できるような価格設定でしょう・・?、手間を 惜しんでとはまったく思えません。(;-_-;) ウーム

となると、残るは強度でしょうか?
音質の変化と強度を天秤に掛けて強度を選んだのでしょうか、 太いゲージの使用でトップが膨らむ故障が多く出たのかな・・・・?

 1978年にカスタム15(戦前D−28の受注生産仕様番号)の流れをくんで、 ふたたび市場に供給されたスキャロップ・ブレイシング採用のHD−28、 以後製造ラインから消えることなく現在も生産されてます。
強度の点からの実績ですが、我が家にある4本のスキャロップ機種、 全て購入時からライトゲージを張りっぱなしですが、お腹が出るような 不具合は起こしていません、ノン・スキャロップのGuildの2本や元12弦の D−20Sも当然問題はありませんが、Gibson CWはブレイシング剥がれも あってか少しだけお腹が出ています。
また最近ではD−42、D−45もレギュラー品でスキャロップが標準となり、 68年に生産を再開したD−45とは大きく仕様が異なってますね。
特別仕様の限定生産品などもスキャロップが多く採用され、逆にノン・スキャロップ は少ない状況です。
ノン・スキャロップのドレッドノートは、メディアム・ゲージ以上の太さの弦を 張ると良く鳴ると言われてました。我が家のGuildも確かにメディアムを張らないと おとなしすぎるようにも感じます。
単純に言えばレスポンスの早いスキャロップ、サスティーンの長いノン・スキャロップと なるのですが、個体差によってはそんな常識を覆す品も多くあり、一概に言えるもの でもないでしょう。
個人的にはスキャロップの方がすきやろっと \(☆_@;)☆\(`-´メ)


2006.7.24 記


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