検盤


 最近は見かけることが無くなりましたが、昔のレコード屋さんでは 『検盤』という、儀式のようなものをなされてる方がけっこういらっしゃいました。
自分はそんな知識は持ち合わせていませんでしたし、自身で行ったことが 無かったので、初めて東京の石○電気のレコード売り場でその風景を見た時は 驚きました。
購入する意志のあるLPレコードをレジ・カウンターに持っていくと、 店員さんは奥にあるストックから同じ盤を持って来て、お客さんに「検盤 なされますか?」と尋ねます。
お客さんが「はい」と答えると、盤のラップをカットして中身であるLPレコードを 取り出します。そして両手でLPレコードを支え盤面をお客様に見せます。
お客さんはそれをジッと見つめて、「OKです」と言えば店員さんが盤をひっくり返して 裏側を見せます。再度「OKです」と言えば、商談成立で会計となるのですが、 もしそこで盤面に異常(傷や付着物などの凸)があった場合、その旨店員さんに 申し入れると、店員さんは自分の目でそれを確認して、再び奥のストックから 新たな盤を持ってきては、再び検盤の再開となるのです。
LPレコード1枚買うのに、ずいぶんとまあ気を使うものだなぁ〜と感心したのですが、 検盤される方は真剣なんですよね。
LPレコードが1枚¥2500〜¥2800、当時の収入から考えたらこの出費額は 非常に高価です。高額な物を購入するのだから、最初から傷一つあっては ならない。購入後のクレームは一切聞いてもらえない。以上の論法から 神経質にもなったんでしょうね。
自分はといえば、そんなこと気にしたこともありませんでした。f(^^;) ポリポリ
レジ・カウンターに商品を持っていって、「検盤されますか?」と尋ねられても、 常に「けっこうです!」の一言で終わりでした。
日本製のレコード盤、音は悪いけど盤質としての品質管理が良いのか、 ゴミの付着や傷などはまったくといっていいほど無かったのですが、海外からの 輸入盤ではけっこう何でもありですね。そんな輸入盤を扱っていた石○電気の レコード売り場でしたから、然もありなんだったのでしょうね。(^^ゞ

 LPを1枚だけ買うなら検盤もいいでしょうけど、中にはどさっと数十枚 買い込みながら、全部ちまちまと検盤されてる方もいらっしゃいました、 誠にご苦労なことですが、次にレジを待ってる者はイライラします。(-_-;)
その後、海外通販のアウトレットでクラシックのLPレコードを買うことを 覚え、LP1枚あたり$2程度の価格から購入できたので、傷があったら 捨てればいいやという感覚になり、ますます検盤は遠い物になっていきました。
まあ、それでも廃棄に結びつくような盤質の悪いものはめったにありません。 盤質の悪いと言われてる共産圏のレコード盤で、20〜30枚買って1枚あるか ないか位でしょうか。
さらに、LPの時代も終わり、CDになったら・・・・・だれもCDの盤面見て 検盤なんてしてませんよね。(^^ゞ
CDってトラッキングエラー起こしても、よほど指紋でもベタベタ着いてなければ、 CD盤面側に問題がある事は無くて、ほとんどはCDプレーヤー側のピックアップ 性能の劣化や、機械的な消耗から来ることが多いんですよね。
正常に再生できないようならプレーヤーを修理するしかない・・・みたいな。
LPだったら盤面を拭いてOKになることも多いのですが、CDではどうにも ならないです。
ですが・・・・・、CDによってはLP再生時みたいなボツンとかバツンとかの ノイズまで入ってる盤もあって・・・・・・USAシャナーキー盤、あんたのことだよ! (~-~;)ヾ(-_-;) オイオイ・・・・・・これは検盤でわかるもんじゃないですよね。 (-_^;) はぁ〜


昔、検盤でボツとされたLP、訳有りセールとかで、返品不可として特売処分 されたのでしょうか?(-_-)ゞ゛ウーム

 昔、LPでは高くて購入を躊躇してたバックハウスのベートーベン・ピアノ・ソナタ・全曲集、 リマスタリングされた新しいCDが今では¥10000ちょっとで購入できます。 これなら検盤しなくても良いよね。(^o^)


2007.3.22 記


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