ピックガードあれこれ


 ギターの表面に貼られて、爪やピックで弾く場合の傷から表面板を 守るためにあります。鉄弦のギターでは水滴型のMartinスタイルや、 鳥や花などの模様が施されてるGibsonスタイルが有名ですが、メーカー 各社において、色柄やデザインなど個性的なスタイルが考案されて 取り付けられてます。
クラシックギターでは基本的に装着されてませんが、奏法によっては 表面板を傷つける場合もありますので、透明のピックガードが貼られてる こともあります。

 ピックガードを貼り付けることにより表面板の一部が合板と 化しますので、その形状や大きさななどから表面板の振動伝達も変わり、 当然音にも影響してきます。
なので、理想的には無い方が良いのですが、表面板への弾き傷による ダメージと、音響的なリスクを比較して、可能な限り最小限の形状で 存在してるのがMartinのスタイルかと思われます。
フィンガーピッカーではピックガードは不要とするプレーヤーも多いですね。
ジョン・レンボーン氏の愛用してたGuild D55、最初は付いていたのでしょうけど、 トップ交換等の修理の際に取り外されたのか、往年のジャケット写真などで 見る限り、ピックガードはありません。
Martinのシグネイチャーモデルでもある、ローレンス・ジュバーの OMC−18VLJやOMC−28VLJも、出荷時からピックガードは存在しません。

 しかし・・・・、私見ではありまが、このピックガードが無いと、鉄弦の機種 では、なんとなくマヌケに見えてしまう自分でもあります。
どうしてもデザイン的にピックガードは欲しいんですよね。
個人的な好みではありますが、J−200やDOVEのような絵や模様までは 要りませんが、真っ黒というのもちょっと寂しいのです。
本ベッコウのタイマイ模様はイマイチ好きではありませんし、どちらかと 言うとD−45GEに付いてるようなガラが好みですね。

 昔読んだ資料に、本ベッコウはその収縮率が木材と比較して 大きくて、ピックガードやバインディングには向いてない旨が書いてあった 記憶があります。
ワシントン条約施行前のヴィンテージ楽器でも、過去に量産されたものに 本ベッコウが使われてないのは、そんな理由なのかもしれません。
ましてや昔のMartin社製品は、ピックガードが塗り込みでしたからね。

 70年代のGuild D−40とD−50、サイド&バックの材料が マホガニーとローズウッドの違いがあり、その他のデザインは 共通なのですが、一目でその両機種の違いがわかるのが ピックガードの色でした。D−40がベッコウ柄、D−50が 真っ黒なんですね。昔TVで観た、紙ふうせんの後藤悦治郎氏が持つGuildと 南こうせつ氏が持つGuildは、瞬時でその見分けができました。
で、Guildは上位の機種が黒いピックガードかなと思ってたら、ジョンデンバーが 使ってたF−50Rのダブルピックガードは黒じゃないし・・・・、かといって 彼のF−612は真っ黒だし・・・・でわからなくなっちゃいましたが、今考えれば 両方ともカスタムオーダー製品だったんでしょうね。
また、70年代のGibsonのピックガード、異様に分厚くて、 初めてハミングバードの本物を見たときには驚きました。
おそらく中空のピックガードで、外周のみが表面板と接触するように 装着されていたのでしょうか?
1978年に入手したMartin D−35でマーチンクラックも経験しましたが、 いつのまにやらMartin社もピックガードの塗り込みを止めてしまって、 もう『マーチンクラック』というのも死語となる単語なのでしょうね。
黒いピックガードのMartinはあまり好きになれません。
GuildならOKなんですが、何故なんでしょう?
触れ合う時間の多かった70年代の製品がMartinコピーの黒いピックガード ばかりで、みんなと同じなのが嫌という、天邪鬼な性格がなせる業かもしれません。


2008.8.11 記


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