事故は語る?


 日経『ものづくり』ではありませんが・・・・・・(^^;
2009年4月14日、都内麹町で大型杭打機が転倒するという事故が起きました。
機械の形状から、ニュースや報道ではクレーン横転とか、大型重機転倒と伝えられて いましたが、正確には 拡底杭施行用アースドリルです。

 事故が発生した当初から、その原因についてニュース番組をはじめ、いろいろな 意見が飛び交ってます。『風が強かったから・・・』『転倒防止のアウトリガーを張り出して なかったから・・・』『地盤が弱くて、鉄板で養生されてなかったらから・・・・』『6.5トンしか 吊れないのに7トンの過重を持ち上げようとしてたから・・・・』エトセトラ・・・・
本当にここは技術大国『日本』なのでしょうか?(^◇^ ;) ほぇ〜
転倒した機械についても、物理の法則もわかってない連中が、勝手に騒いでるだけ!(°0°)\(--; オイオイ

 とりあえず自分のお仕事の観点から分析してみれば、ベースマシンはクローラ・クレーンですから、 当然、転倒防止用のつっかえ棒である、ジャッキやアウトリガーは装着されてありません。 また、ちょっとやそっとの風で転倒するほど 質量の軽いものでもありませんし、ニュース映像で見る限り、地面には鉄板が敷かれて養生 されており、転倒時にそこに足回りが食い込んだ形跡も見当たりません。そもそも何を根拠に 6.5トンなんて中途半端な数値なのかもわかりませんが、定格の10%増の負荷で 転倒するようなクレーン系の機械も、存在することはないでしょう。
つまり、どうみても全部ハズレです!f(^^;) ポリポリ

 では何で転倒事故が起きたのか?
インターネットのニュースにおいて転倒した状態での写真がありましたが、産経新聞での 報道写真を見ると、転倒してる姿勢でブームの起伏角度が異常に大きく、水平から110度程度に なってるのがわかります。( ・_・)ん?!
おそらく、この転倒した機械を再度立てることができたとしても、その作業姿勢では 安定を維持することはできないでしょう。(-_-)ゞ゛ウーム
クレーンの場合のブーム角度として、水平から80度程度が上限であり、それ以上 持ち上げることはできないはずです、もしそのような角度を取れるとしたら、機械的に壊れたか、 安全装置を無視した誤操作があったとしか考えられません。

 それでは、なぜブーム角度が大き過ぎると転倒するのかと申しますと、ベースマシンの 旋回台後方には錘(おもり)が着いてます。これをカウンターウェイトと呼び、文字通り 荷重に対抗しての錘(おもり)にあたり、荷物を吊ったり、ブームを下げたときに、機械としての 重心位置が車体としての安全範囲より外に出さないために存在してます。つまりヤジロベーの 錘になってるわけですよね。
ですから、もしブームの角度が90度以上起きてしまったら・・・・・・、その部分の重心は 旋回台の後方まで移動してしまい、カウンターウェイトの重さも加わって、重心が外側に 寄ってしまい、機械としての安定度は保てなくなります。
こうなると倒れるしかありません。

 報道によれば、荷物を吊ってるときにバランスを崩して転倒したとオペレーターの方が 証言してるそうですが、『バランスを崩す』というのがキーワードになるでしょうか?
本来ならばバランスは崩れません。ブームの起伏操作が行えてしまったのか、あるいは 荷重、もしくは吊荷姿勢での旋回や走行操作によってブームが振られて、さらに起き上がってしまったのか わかりませんが、ブームの起き上がり過ぎが転倒原因であることは間違いないでしょう。


2009.4.15 記


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