入口 or 出口?


 オーディオという趣味の世界でよく言われることに、『音の入口と出口の 機器については満足のゆく、しっかりしたもので固めなさい』という格言・・・? ・・・があります。
入り口というのは、昔ならレコードプレーヤー、今ならSACD等の、レコードや CD等の音源ソースから音楽信号を読み取り、取り込むための機器でしょうか。
たしかに音の入り口がしっかりしてなくて、まともに音楽信号が入ってこなければ、 その後の機器がどんなに素晴らしい装置であっても、入ってくる音源よりも 良い状態で再生してくれることはあり得ません。
これに対して出口とは、スピーカーシステム以外の何物でもありませんが、実際に 再生に使用するスピーカーシステムによって、まったくといっていいほど聞こえてくる音楽が 違って来るのです。そしてその聞こえ方は、ひとつの機種ですべてにおいて 満足できるという万能のものではなくて、たとえば一方は弦楽器の再生が得意な スピーカーだったり、もう一方は金管楽器の再生が得意なスピーカーだったりと、 それぞれに一長一短があって、その中から自分の好みの音楽ジャンルや感性と 一致するものを選んで、そのスピーカーシステムを好みの音量で上手く鳴らしきれる アンプを選択して組合せるというのが、昔から言われてるオーディオの『王道』でも あるのです。
よく言われてるように、ジャズが好きならJBLやアルティックのスピーカーを チョイスする場合が多いかとは思いますが、これらのメーカーの38cmウーハーを まともにドライブするには、それなりのパワーアンプも必要となります。ミニコンポの アンプをつないだところで、スピーカーの強力なマグネットからの反起電力に 打ち負かされて、ユニットを満足にはドライブできるはずもなく、宝の持ち腐れとなって しまうでしょう。

 そんな前提が在る中で、入口と出口、どちらに重きを置くか選択せよと問われたら、 貴方ならどちらを選びますか?
自分の場合、入口の方を重視すると思います。
音の入口というのは、カメラで言えばピントや解像度です。ピントが合っていない写真は、 後からいくら補正しようとしてもできません。解像度が悪かったら、撮影時以上に ハッキリさせることは不可能です。まあ最新のデジタリーリマスタリング技術を使えば、 それなりに再現することは物理的に可能かもしれませんが、オーディオ機器の中には そこまでの機能は持ち合わせておりません。
この辺は最新のフォノイコライザーを購入して、しみじみと実感できました。
同じアンプ、スピーカーでありながら、音の切れが全然違うんですよね!(」゜ロ゜)」 ナント
入口に対して出口は、各位の好みの世界でもあります。オーディオとは生音を100% 再生することではなくて、それなりに楽しめるように再生するものである限り、 自分の好きなように再現してくれるスピーカーが良いのであって、標準原器というものは 存在しないのだと思えます。実際に目で見た色と、写真として撮影したプリントの色が 異なるように、好きなように調整できれば良いんじゃないのでしょうか。
つまりは、好みの味付け・・・?
前衛的な音楽で、ピントも解像度も関係のないような作品なら、入口はどうでも良いのかも 知れませんけど、楽器の音をそれらしく聴きたかったら、やはり入口は最重要視するべきでしょう。
38cmのウーハーユニットを持つスピーカーシステム、ミニコンポのアンプでも 音を出せないわけじゃありませんからね。入口から入力された音楽信号、その波形形状の 何割かを再生するのが出口でもあるのです。ミニコンポのアンプでは、その割合が下がる ということであり、スピーカーの表現力を十分に導き出せないってことでもありますが、 自称オーディオマニアに、まさかそんな奴はおらんでしょう。 (^_-)v

 最近のパソコンオーディオでは、デジタル信号を拾い出すトランスポーターの代わりに、 CDやSACD等からリッピングにて信号を読み出し記録媒体に保存して、回転機器の フィードバック信号等の影響をオンタイム受けるデことなく、そのままデジタル信号を DAコンバーターに送り出すことで、音の入口としての純度をあげてるようですね。

2010.4.1 記


< Back   |to Home|   |to Second Impact| Next >