LCネットワーク


 既存のスピーカーシステムって、フルレンジユニットだけが使われてる場合を除き、 必ずLCネットワークが入ってます。
同軸2ウェイのTANNOYでさえ、それなりに大掛かりななネットワークシステムが 入ってますからね。
そもそも、LCネットワークとは何ぞよ?という説明がないと、オーディオマニア以外の 方では話が見えなくなってしまいますので、簡単に記しておきますと・・・・・・。

 スピーカーユニットには、大きさや形状により再生が得意な周波数帯域というものがあります。
フルレンジユニットというものもありますが、これ一個で20Hzから20KHzまで フラットに再生できるって物ではなくて、スピーカーボックス等の形状や、 イコライザーシステムの力を借りて周波数を補正して、なんとか聴けるようにしたり、 中音域をメインとして上下の周波数再生の劣化には眼をつぶるという方式で あったりします。
地を這うような低音を出そうとすれば、それなりに直径の大きなスピーカー ユニットが必要であって、ウーファーと呼ばれてます。我が家のJBL4344の場合、 ウーファーは15インチ(38cm)の直径で、290Hzより低い周波数を再生する 役割を担ってます。
最近はダクト構造の音響特性等を利用して、スピーカーとしては小さい直径でも 低音が出せるBOSEのキャノンウーファーなんてのもありますが、低い周波数帯域を 担うことに変りはありません。
このほかに、人の声を中心とした中帯域を再生するスコーカー、高音の再生を 得意とするツイーターなどがあり、基本はウーファーとツイーターの組み合わせから なる2ウェイ方式から始まって、スコーカーを加えた3ウェイ、さらにスーパーツイーター等を 組み合わせた4ウェイなどが、市販のスピーカーシステムでの構成となってます。

 スピーカーとしては、このように2種類以上の組み合わせが基本となってますが、 そのスピーカー群を駆動させるアンプからの出力信号は、一般的にはスピーカー 1セットに対して配線が2本出てるだけであり、その出力信号には、音楽として すべての周波数帯域が含まれてます。
そしてこの信号をそれぞれのスピーカーユニットに伝えて行くのですが・・・・・、 高音域の再生が得意なツイーターに低い周波数の信号を流そうとすると、ツイーターは 壊れます。またその逆で、ウーファーに高音域の信号を伝えても、それを再生することは できず、壊れることはなくても変な振動を発生させて、歪んだ音が出るように なったりします。
また、それぞれのスピーカーユニットで、入力対する出力の大きさ、このレベルが マチマチですから、すべてのユニットを並列でつないだら、壊れない場合であっても、 バランスが悪くて聴けたものではない状態となります。

 ここで、各スピーカーユニットへ供給する電気信号を周波数ごとに割り振って、 その大きさを調整する役目として、LCネットワークの存在があるのです。
LCネットワークの中身は、その文字通りにLとしてのコイル、Cとしてのコンデンサ、 それにインピーダンス補正の抵抗やレベル調整用のボリュームなどが含まれます。
音楽信号は広範囲に及ぶ交流波形を持つ信号ですから、コイルやコンデンサで 必要なところを通したり、不要なところをカットしたりできるのです。
言わば、スピーカーの中の交通制御システムですね!
LCネットワークはスピーカーシステムを作るときの要となる部品群でしょう。
おそらくどこのメーカーでも、ある程度までコイルのインダクタンスやコンデンサの容量を 計算して割り出して、微妙にその定数を変えながら測定や試聴をしつつ、バランスよく音が 出るように決めていくんでしょうね。

 スピーカーシステムをアンプで鳴らすってことは、スピーカーユニットとLCネットワークを 同時に駆動させることでもあります。アンプはスピーカーユニットを鳴らしてるだけじゃ ないんですよね。QUADのアンプとTANNOYのスピーカーで相性が良いと言われてるのは、 LCネットワークも含めて、QUADのアンプでベストにドライブできてるからじゃないかと思えます。
この辺は妙技というところなんでしょうかねぇ?

 そんな重要な役割を持つスピーカーの中のLCネットワークですが・・・・・、重要ゆえに 部品として良い物が採用されてないと、それだけで音質劣化の原因ともなり、 スピーカーユニットの性能を引き出せなくなったりもします。
また、あくまでも音楽信号用のフィルターとして使われているので、理想を言えば 無い方が望ましいとも言えます。アンプ側の負担もずいぶんと変るでしょうね。
我が家のJBL4344においても、2ウェイのマルチアンプとして低域のネットワークを外して 使用しただけで、静かになったというか、その音質が大きく変化したのがわかりましたから。
オーディオの猛者ともなると、すべてのネットワークをバイパスして、4ウェイのマルチ アンプで鳴らされてるとか・・・・・
理想的には良いのですが、お金も掛かりますし、2ウェイでもその調整で四苦八苦してるのに、 下手にマルチウェイなんてやった日には・・・・・、バラバラになってしまうかもしれません。

う〜む・・・・・・(~-~;)ヾ(-_-;) オイオイ、ヨカラヌコトヲカンガエテナイカ


2010.6.25 記


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