TV番組の嘘


 2010年12月13日(月)、夕方の20時から、日本テレビ系の番組 世界まる見えテレビ特捜部を観てましたが、その中で、i『サバイバル術5 感電死を防げ! 』 は、科学的にもまったくの間違いだらけでした。

【2010/12/13 OA】 時における、TV局サイトの↓URLより記載を抜粋しますと・・・・
http://www.ntv.co.jp/marumie/index.html


あなたならどうする?大地震からのサバイバル・・・ほか

◆サバイバル術5 感電死を防げ!

そして本来は地震の後、道路には危険が溢れている為、車の運転はしないほうが良い。だが、この時ケイドは、ケガ人の治療を早くしなければならない為、やむなく車で避難所に向かった。と、その時、余震が起き、電柱が倒れ、車が電線に覆われてしまった。

車の中にいれば感電はしない。しかし、どうしても車から出なければならない場合は、まず足下にあるフロアマットを近くに投げる。マットはゴム製なので感電しない。次に腕をたたんで体に付け、両足もくっつけたまま、マットに飛び移る。

そして、マットのない所を歩く方法。地面にも約半径6mに渡り電気が流れているので、片足を上げたり、足を開いたりしたら感電してしまう。そこで常に両足を閉じたまま、地面をゆっくり、すり足で進む。こうして彼らは、電線から脱出する事ができ、ケイド達は避難所に辿り着いたのだ。


 上記の記載通りに番組が進められ、当初には別途アナウンスで、「タイヤはゴムだから 電気が流れないので・・・・・」との解説もあって、何気なく耳は入って来たその一言から、 大いなるデタラメを感じました。
車のタイヤ、天然ゴムで出来てるわけではなく、タイヤとしての性能を維持するために 金具やカーボンなどの素材も含有されており、絶縁性はありません。
メガテスター(絶縁抵抗計)で測れば、しっかりと針が触れます。v(^o^ )

 そして極めつけは↓下記の表現です。

 地面にも約半径6mに渡り電気が流れているので、片足を上げたり、足を開いたりしたら感電してしまう。そこで常に両足を閉じたまま、地面をゆっくり、すり足で進む。

 これって、電気に詳しい方が聞いたら、腹を抱えて笑ってしまう内容ではないでしょうか?
何を根拠に半径6mという数字が出てきたのかを含めて、突っ込みどころが満載です。
そもそも地面に電気が流れてるってことは、どこからどこに向かって流れてるのでしょう?
電気の流れを説明する場合、基本的に地面はアースであって、電気はアースに向かって 流れるのです、電気エネルギーは地球の大地にアースされて終わりになるものであり、 一旦アースされた電気は他所へ流れ出ることはあり得ません。
そして加工された映像で感電を表現してましたが、『片足を上げたり、足を開いたりしたら 感電してしまう。』って、ここまでくると、まさに (°0°)☆\(-.-メ)ウソツケ! の世界であります。
地面から人の足に向かって放電が起こって、さらにその放電がもう片方の足に流れて・・・・・
電気は電圧が高いところから低いところ(アース)へ向かって流れますから、アースという低い位置から、 わざわざ人間という抵抗体を通って高いところへ流れ込み、空間放電を介して反対側の足まで行き、 再度アースへ戻るような無駄な動きは絶対にしません。最短で抵抗の低いところを通って、 電圧の低い方へ流れるだけなのです。
もしこの番組の訴えが事実なら、高圧送電線に停まった鳥は全部感電死してるでしょう。
鳥が死なないのは、電気として鳥の体を通って、外部に流れて行かないからです。 この番組を作った方達、そのまま放映した方達、電気に関してはまったく無知な連中でしょうね。

 そして何より怖いのは、このようなデタラメが公共の電波で、ゴールデンタイムにテレビ放映される 視聴率の高い人気番組である場合、それが真実であると騙されてしまう方達が大勢いらっしゃることです。
TVで放送されたから真実であるとは限りません、ちょっと電気的な知識があれば、 あきらかに大嘘であると見抜けますが、TVで放送されたからと、嘘であることが理解できずに そのまま信じ込んでしまう素直な人たち、まさに、信じるものは騙されるのです。


2010.12.14 記


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