電気エネルギーって
著名な教育機関で学んだ訳ではありませんが、一応、電気工学科を
卒業しておりまして、それなりに専門分野の単位も修得しています。
オイルショック前の大昔、講義の中で火力発電等について学びましたが、
講師である教授がおっしゃるには、そのエネルギー変換効率は非常に
低いということ、これを口を酢っぱくして説いておられたのが印象的でした。
火力発電の原理を簡単に書き出しますと、まず燃料を燃やしてお湯を沸かします。
さらに沸騰させて蒸気を作り、その圧力を利用して蒸気タービンを回して、
発電機を回転させることによって電力を作り出す仕組みとなってます。
イメージとしては蒸気機関車で発電装置を回してるようなイメージですね。
この場合の蒸気タービンというのは蒸気で回す羽根車のことになります。
つまり、燃料の燃焼、水蒸気、機械の運転と、エネルギーが形を変えて
伝わって行くわけで、変換されるたびに伝達効率が落ちるのも当然であり、
供給された燃料のエネルギー量を100%としますと、中には高いものも出現しては
おりますが、今現在の技術で、おおよそ40%程度の発電効率となっております。
効率が高いとされてる火力発電においても、燃焼エネルギーの60%が消えて
無くなってるって事ですね。
火力発電の良いところとして、原子力発電や水力発電、他の自然エネルギーと
比べて出力調整が容易であって、安価に大規模な蓄電を行えない現代の技術では、
昼夜間の電力需給調整に欠かせない存在になってるところでしょうか。
困ったときの火力発電所頼みって感じですね。日本における発電電力量、約70%を
火力発電が担っているそうです。
化石燃料の将来性や地球温暖化防止などの観点もあって、最近は原子力発電が
増えてきました。先日の地震で放射能漏れを起してる原子力発電所もその一環でしょう。
しかも、火力発電と違って出力調整が容易ではない原子力発電ですから、大容量の
保存が出来ない電気としては、夜間の電力は無駄に余ってしまいます。
そんな余剰の電力を何とか利用していけないかと、電力会社と電気メーカーが
手を組んで、夜間の電力を安く利用できるからと、オール電化住宅やエコキュートなどを
推進してました。
いわば、原子力発電のための、オール電化住宅やエコキュートですね。
これらの推進により、日本における電力消費量はあきらかに上昇しています。
そして、未曾有の災害を受けたことによる計画停電の実施、もはや因果応報でしょうか?
火力発電において、そのエネルギーの変換効率は40%、そしてそこで作られた
電気を使ってお湯を沸かしたとしたら、トータルでは無駄に化石エネルギーを使ってるとしか
言えません。
『電気は動力で使ったり、熱変換するのが、もっとも効率の悪い使い方である!』・・・・これも
教授の言葉でした。今になって身に沁みます。
SNSのmixiにも加入しており、そこでもあれこれ書いてますが、3月23日に書いた日記、
上記に関連して、もうひとつのメッセージがあります、以下に加筆して転記いたしますので、
よろしかったらご一読ください。
タイトル:利便性と、そのリスク
福島第一、第二原発
今日現在、その二つが災害により稼動できてないのは、皆様ご存知の通りです。
全世界に及ぶ、放射線による汚染被害も報道で知るところでしょうか?
今まではこの二つの原発によって、最大900万キロワットの電力を関東圏に送っていました。
問題が起きた今であれば、他の原発も含めて、原発反対と高らかに叫ぶことは容易でしょう。
しかし、この二つが機能しないと、電力不足によって関東圏内で計画停電が存続することは確かです。
しかも、春や秋の暖かい時期ならまだ良いのですが、猛暑の中や厳寒の寒さの中、我慢ができないような気候下での停電となるでしょう。
いままでは私達は原子力発電による恩恵を受けてきました。
当分は、利便性をとって危険性の中に身を置くか、リスクを取って暑さや寒さを我慢するか、この二つに一つの選択しかありません。
電気が無ければただの箱ってパターンも多いのです、コンビニエンスストアもその機能を発揮できません。
利便性を求める文明のあり方について、今こそ考え直すべき時期なのでしょう。
さらに付け加えるなら、現在の主力となってる火力発電、石油に代表される化石燃料もいつまでも続くわけではありません。
大気汚染や温暖化防止、中東情勢に左右されるなど、こちらについても考え直さなければならないのです。
2011.3.24 記
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