油圧って・・・・


 ご存じですか?
クレーン車とか、バック・ホーとかの建設機械は、ほとんどが油圧を使って、 シリンダーや油圧モーターで動かすようになってるんです。
作動油と呼ばれる油をポンプで高圧にして送り出して、大きな力で ゆっくりと動かすのが特徴でしょうか、空気圧のそれとは力の桁が 2つくらい違っております。
そんな油圧で動く建設機械を作るのが、勤務先での自分のお仕事 ですが・・・・。

 30数年前、たしか電気屋さんとして製造業の会社に入社したはず なんですけど、今やサービス業である会社の一部署となり、最近はそこで 油圧回路図を書いてることが多いです。
入社した当時の機械の造り方は、油圧機器の商社の営業マンに、これから 製作する機械の動きを伝えて油圧回路を考えてもらって、それを 図面にしたものの提出を受けて、その油圧機器を購入してました。
つまり、油圧回路図は商社側に描いてもらって、それをいただく だけであります。
またそんな油圧システムを制御する電気関係も、商社の下請けの 電気屋さんに丸ごと任せていて、そこで制御盤を作ってもらい、 完成した電気回路図をいただいていたのです。
そんな訳で、建設機械を動かす制御システムの設計は機械設計の おまけみないな存在で扱われ、出来上がった機械も、気配りのない 取って付けたような操作方法でしかなく、当然ながら故障も多くて、 さぞかし使い辛かったでしょう。
入社したばかりの頃に、年末年始の応援作業で手伝いに行った営業所、 「こんな機械作りやがって・・・・・」との文句を、当時そこで 営業所長を務めていた方からいただいた覚えがあります。

 自分が入社してからは、電気回路は徐々に社内で設計して描くようになり、 操作方法などについても実際のニーズと一致してきましたが、油圧に 関しては従来のままでした。
商社さんが描いた油圧回路図を基に、自分がそれを制御する電気システムを 考えて、外注の電気屋さんに制御盤を作ってもらうパターンが長らく続いて いたのですが・・・・
バブルがはじけて不景気がやってきて、機械を作ることが減って、 油圧機器の商社さんとにお付き合いも減少して疎遠になって行く中、 自分の上司でもあった、前任の油圧関係の担当者が定年退職して 不在となり、他に誰も分かる人がいないので、電気屋の自分が代わりに 油圧の制御も考えるようになってました。
 汎用性のあるジャンルではないから、知ってる人が少ないのよね。
特に機械科を専攻してたとか、流体力学を勉強したとかいう訳では ありませんが、実際問題、電気回路に置き換えて考えれば、それなりに 共通性があることから、門前の小僧お経を読むで、永らく従事していた 経験値から油圧についてが分かってきたみたいです。
最近になって、電気の回路設計はもちろんのこと、油圧の回路も フルオリジナルで考えだした受注生産機械が1機種出来上がって出荷 されてから、必ず自分が油圧回路図を書いて、それを元に商社に 使用する油圧機器を選んでもらうようになっています。
前任の油圧担当者も自身では回路図を設計して描くまでには至って おりませんので、全従業員2000人弱の中で、あとにも先にも 社内で、オリジナルの油圧回路をゼロから設計したのは自身一人 ・・・・・、だけど優遇はされませぬ。
昔、システム設計は機械設計のおまけみたいなものだったから、 それが出来ても大事にはされないのでしょうな。
自分が定年退職したら、複雑な特注機械の受注生産品のシステム制御、 できなくなることでせう。
 まあいいですけど・・・・・。


2013.3.5 記


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