最近の機械事情


 30年以上サラリーマンをしてる故か、今現在になって、20年 以上前に手がけた作業用機械の修理問合せなどに遭遇することも あります。
一番古い例では30年以上前に函館へ納めた製品、自分の入社以前に 製作納品された機械について、古い資料を見ながら対応したことも あったりします。
昔の機械はアナログでしたから、基本的な原理が解っていれば、 部品を作り直してでも対応することが可能なんですよね、メインとなる 機構部分が腐食してしまって、使い物にならない状態にまで劣化して なければ、制御装置類をそっくり作り直して、いくらになりますからと 回答した事例もあったりします。
まあ、風呂には温度、ものには限度ってものがありますから、 さすがに20年使用したら、新しいものに入れ替えて欲しいって要望も ありますけどね。

 そんなわけで、古い機械ならどうにかなるのですが、最近になって からの機械、特にマイコン制御を使ってる電子制御については、 より寿命が短くなってしまってます。
正直申しあげて、文明の急激な進歩に部品の供給や維持が追いつき ません。
マイコン制御の出初めのころ、ウインドウズでもマックでもない、 98ノートと呼ばれるパソコンで、制御システムのパラメーターを 設定する制御基板がありました。パソコンで速度設定や故障診断が 出来るという事で画期的な製品ではありましたが、ウインドウズ95が 発表され、パソコンのメインOSはマイクロソフト社の世界へ、 当然のように98ノートは生産が終了となって、パソコン本体が 瞬く間に年代物の貴重品となって行きました。
便利なはずのマイコン制御、しかし、その設定を変更できるパソコン 自身が先に消えて行ったのです。
しかも、基板で使用してるマイクロチップ、生産が終了となり 供給が困難となったところで、基板のメーカーがそれを理由に、 生産品の供給どころか、すべての修理業務まで打ち切ってきて・・・・、 機械製品として、もはや絶滅する道しか残されていませんでした。
発表から10年も経過していない、市場相場で1000万円近くする 高所作業車が、プリント基板が故障しただけで使い物にならず、 スクラップになってしまいます。
他にも、制御装置の要で使用してた安全装置にも、マイコンチップが 生産終了により供給されないので生産中止となったものもあって、 最新の電子制御を取り入れてると、10年もたずに供給不可と なるものが続出です、これらはみんなデジタルので世界ですね。
昔の機械は騙し騙しで30年以上使えましたが、最新の機械は 10年持たないものがほとんどカモしれません。
二言目には生産終了で部品供給が不可能・・・・ですから。
それとパソコン制御、OSが代わると対応できない場合が 当たり前で、そのOS自体が数年で次へ移行していってますからね。
便利になってるようで、実は大幅に制約を受けて不便してる時代 でしょうか?
軽薄短小、何事も使い捨てになってます。


2013.6.4 記


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