焙烙での手網焙煎


 長い事、表題の方法でコーヒー豆の焙煎を続けてますが、どのような 手順で焙煎に臨んでいるのか、後継者に伝わるように、あらためて記録 として綴っておきましょう。

 焙煎を行う時は、体調が良い時に限ります。心技体が満足でないと、 手網焙煎はできません。鼻水ズルズルや筋肉痛があっては、安定して網は 振れませんからね。
集中力も大事です、ボケっとしてると、火加減によっての変更 タイミングや、焙煎を止める時間を逃してしまって、ムラ焼けや炭に なってしまうこともあります。

 まず最初に、焙煎するコーヒー豆の分量を量ります。
我が家の焙烙の容量と火力の強さから、1回の焙煎は、生豆250gが 最大です。今までは、大きめのコップ口切いっぱいで約250gとして ましたが、デジタル秤がある今、正確に測定しても良いのかもしれま せん。
焙煎が完了すると、ロースト程度にもよりますが、フルシティ・ローストの 場合で、この生豆250gが焙煎豆200gになります。約20%軽くなるって ことですね。

 次にハンドピックで選別を行います。
俗にいう欠点豆、黒い豆や欠けた豆、カビの生えた豆、異常に小さい豆、 変形してる豆、虫の食った豆 などを目視で取り除く作業ですが、これが一番辛い作業でもあります。
欠点豆が多い品の時は、ホントに嫌になってきますからね。



 ハンドピックが終わったらボウルに入れて、銘柄を書いたメモを入れて おきます。何種類も焼くときに区別がつかなくなるので、この工程は絶対に 必要です。焙煎してしまうと豆の区別は、容易に目視判別できません。


 焙煎する直前に、これから焼く豆を洗います。
ザルにいれてボウルで受けて、水に浸して米を研ぐように洗ってますが、 豆が汚れていると、洗った水がコンソメスープみたいな色になります。

1?2回水を替えて完了です、水に浸け過ぎて、豆をふやかして しまってはいけません。
ザルに入れたまま水を切って、焙烙へ移しますが、洗い始めてから焙煎に 移行するまで5分以内を心がけています。

 生豆を焙烙に入れて、クリップで蓋を2か所止めて、いざ焙煎開始です。
バーナーは内側も外側も中火程度に設定、火加減を調節しておきます。



 バーナーの数センチ上で強く振り始め、焙煎作業が始まります。
強く振らないと『焦げる』、『燃える』になりますので、伝える熱を 拡散させるために力強く振り続けます。


時間にして約1分30秒、近火(強火)状態での焙煎を続け、豆の色の 変化に注視します、色が付いたと思えたら、中火へ移行します。

 それまでバーナーのすぐ上で振っていた焙烙を、バーナーから離します。
距離にして約30cm、この高さを維持したまま焙烙を振り続けますが、 バーナーに近い時よりは弱めに振ってももう大丈夫です。



 豆に焼きムラが生じてる様でしたら、バーナーからの距離を遠ざけて振り、 均等になるように調整します。

 以後は、この30cmの距離を保ったまま焙烙を振り続け、豆がハゼるのを 待ちます。
1回目の1ハゼ、バチバチと低い音で豆が音を立て始めます。市販の コーヒー豆のミディアムローストは、この1ハゼが終了した程度で しょうか?

 どちらかというと深炒りが好みなので、さらに焙煎を続けて2ハゼを 待ちますが、2ハゼが始まる直前のザワザワ感、判るようになるには 経験値が必要かもしれません、そこで止めればハイローストです。

 より高音の、パチパチ、チリチリという2ハゼ音が始まって、すぐに 止めればシティ・ロースト、さらに進行して、2ハゼ音が盛大に鳴り出した ところで止めたのが、フルシティ・ローストです。
豆の種類によって、どこで焙煎を止めるかのさじ加減を施します。
マンデリンやブラジル、コロンビアなど、苦みが美味しい豆はフルシティ まで焼いてますし、酸味が美味しい豆はシティ・ローストで止める ようにしています。モカなどは、ハイローストとシティ・ローストの 中間で止める場合もありますし、タンザニアは酸味がきついので、 シティよりちょっと進んだところまで焼くようにしています。

 アイスコーヒー用には、2ハゼが終わるまでのフレンチローストに しますが、深く焼かれるので豆が非常に軽くなります。
アイスコーヒー用の豆を、同じグラム数にて普通のコーヒー豆と 同価格で売るのは、とても損なのかもしれません。

 焙煎が終了となったら蓋のクリップを外して、焙烙から大ザルに豆を 出して、撹拌させて急冷します。撹拌させずに塊のままにしておくと、 豆の余熱で焙煎が進んでしまうので、かならず撹拌して冷やすように しましょう、豆が重ならないようにしたり、必要に応じで送風機等で 風を送って冷やすやり方もあります。

 粗熱が取れたら、ザルの中でよく撹拌してチャフ(豆の皮)を落として 出来上がりです。
茶筒のような密封度の高い容器に入れて保存します。


 以上が最近における我が家の焙煎のノウハウです。
以前いも書いたかもしれませんが、現在はこんな手順と加減で落ち着いてます。

2013.7.8 記


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