演奏と音質と・・・


 前回からの続きではありませぬが、レコード盤と言う音源、当たりとハズレ があるのは確かです。何を持って『当たり』『ハズレ』と呼ぶかですが、 まず最低限、レコード盤として音がまともである事! これに尽きますね。
レコードブームの再来と言われてる今のご時世ですが、レコードって、 それなりの再生装置でキチンと音を出せば、少なくてもCDよりはるかに レンジが広くて、シャープでダイナミックな、きっちりとしたレスポンスの良い 音で再生できるハズなのですよ。まあ、それなりの再生装置が無いと話にも ならない訳ですけど・・・・、だからレコードなら何でも良いって訳じゃ無いん ですよね。
音がまともではないレコードを再生すると、高音域の伸びが無い、音の 分解能が低くて、楽器や声の一つ一つの音質が粒立ちが悪くてハッキリ 聴こえてこない、総じてカーテンの何枚か向こう側で演奏してるような音に 聴こえる・・・・などがあげられます。
例えば、同じタイトルのビートルのアルバムであっても、音の良い盤と そうでない盤の差は明確であり、音の良い盤を聴いた後に、同じ曲で音の 悪い盤を聴くと、後者は円盤投げして放り出したくなったりします。
音が悪い盤て、針を降ろしてから数秒でわかりますからね。
それから、前回も書きましたが、製作工程の中でCD音源をそのまま使って カッティングを行った最近のレコード、音の広がりがまったく存在しません。
味も素っ気も無いような、実につまらない音でレコードを再生することに なっちゃうんです。音楽を聴いていて、何の感動も生まれないような 無機質な音とでも申しあげましょうか、レコードとしての再生で機械的な損失 を増やしただけのような、CDをそのまま聴くよりも劣悪な再生音であり、 名曲をわざわざ台無しにしてるような感じがしなくもないです。
なので、CDとしてヒットしたアルバムであっても、それをそのまま レコードにしただけの作品、ハズレってことですね、第一条件の『音質』が クリアー出来てないのですから。


 その次に来るハズレは、レコードとして音は良いんだけど、作品としては どうなのよ?ってアルバムでしょうか。
ドイツECM盤とかを購入すれば、多くの場合音質的には満足できると 思います。しかしながら、そこに納められてる音楽にも満足できるか どうかは別問題であって、どんな天才アーティストでも駄作の一つや二つは 拵えていて、そんな作品が、良い音質でレコードになってるような、そんな 感じかもしれません。
このアルバム、音だけは良いんだけどね〜・・・・・・ってレコード、 ありませんか?
内容が伴ってないぞ〜!!!って感じるアルバムですな、残念。


 一番悔しいのは、好きなアーティストのお気に入りの作品なんだけど、 レコードとして音質がいただけない場合ですよね。よくあるのはベスト盤、 劣化したマスターテープを使い回したのか、コストダウンで機械的に テキトーにカッティングを行ったのかはわかりませんが、好きな名曲が 悲惨な音で再現される・・・・・、そんな大ハズレが泣けてきます。
また、かのビートルズのように、日本でプレスされたレコードはロクな 音質じゃないけど、海外で初期にプレスされたレコードは極上な音質・・・ なんてのもありますけど、これが日本の歌手の場合、日本でプレスされた 盤しか市場には存在してない場合、その盤がNGなら、良い音質で聴く ことは絶望的だったりします。最近になってリマスターされてCDが発売 となり、あらためてデジタル音源で聴くそんな音楽、古いレコードで聴くより マシなのも確かです。残念ながらCDクオリティ止まりでありますが・・・


 では『当たり』ってのはどのようなものかと定義付けしてみれば、 音が良い盤であって、さらに楽曲の出来がよくて、演奏も素晴らしい場合である ってのは、言うまでもないでしょうね。我が家の名盤に加えたくなるような 作品で、繰り返し何度でも聴きたくなるアルバムであり、都度満足できる 音で聴かせてくれる盤であると言えるでしょう。
五味御大がおっしゃっていたように、そんなレコードが100枚もあれば もうそれで十分なのでしょうね。現在、我が家には推定で1000枚を超える レコードがありますけど、還暦を過ぎた今、『当たり』でないレコードは 徐々に売却して減らしていった方が良さそうです。売るのなら、レコード ブームである『今でしょ』。
ディスクユニオンが近所に有ったら良いんですけどね〜、まちがっても ブックオフやハードオフ等、価値観のわからないチェーン店でので売却はしないでせうな。


2017.7.18 記


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