オーディオ的不満と衝撃


 振り返ってみれば、中学一年生の時にモジュラーステレオと呼ばれる、 レコードプレーヤーとアンプが一体で、小型のプラスチックの箱に入った スピーカーが2個セットになったものを親から買ってもらったのが、趣味としての オーディオの始まりでしょうか。初めて自分で購入したシングルレコード、 メリー・ホプキンの『ケ・セラ・セラ』をそれに乗せて聴いていた覚えがあります。
60年代の後半、この頃シングル盤の価格¥400は、とてつもなく高い 金額でした。(~_~;)

 その数年後、高級感を漂わせる木製の箱に入ったスピーカーセットと、 レシーバー付きのワンランク上のモジュラーステレオを兄が購入し、それで音楽を 聴くようになりましたが、S&G(サイモン&ガーファンクル)の『アメリカ』という曲、 テレビで放映された時にはドラムの音が非常に印象的に聴こえた曲なのですが、 そのステレオ装置でS&Gのレコードを掛けると、なんかドラムじゃなくてボンゴみたいな パーカッションでのポコポコした音に聞こえて・・・(~_~;)
当時は何がどうしてそう違うのか全くわかりませんでしたが、きっとモジュラー ステレオの音が正しいのだろうと思い込んでました。f(^^;) ポリポリ

 その後に日本はオーディオブームとなり、兄がM電気系の販社に務めていた関係で ダイヤトーンのスピーカーを兄弟で入手するようになりました。兄がDS−251MkU、 学生だった自分はアルバイトで稼いでなんとか自分用にDS−35Bを購入。(^^ゞ
これをDA−U750という60W+60W出力のプリメインアンプで鳴らして、やっと 『アメリカ』のドラムの音がそれらしく聴こえるようになりました。(^。^;) フウ

 オーディオブームの真っ只中、雑誌もあれこれ取り上げる事が多く、国産プリアンプ 全機種の比較記事が目に入ってきました。その著者が言うには、本格的な セパレートアンプで聞くと情報量も多く、プリメインアンプとはまったく次元が違うと 解説してあるのです。
とくにその記事の中で上位にランクされている2機種はベタ褒めでした。
そんな雑誌と著者に触発されて、お金を貯めてそのプリアンプを買ってみました。
オーレックスSY−88、当時の定価で¥180000也は自分にとっての超高級品です。
それまで使っていた兄のプリメインアンプは¥98800、それがコントロール アンプだけで倍近い価格ですからね。
プリメインアンプのメイン部、つまりパワーアンプ部だけを拝借して、レコードプレーヤー やその他はSY−88に接続を変えて、物は試しでレコードを聴いてみる事に!。

 選んだレコードはその頃よく聴いていた、ふきのとうのアルバム『風来坊』から 『五色のテープ』を掛けてみました。
音が出た瞬間に、それまでとは全く違うものを感じます、今そこで、目の前で 本人が歌ってるように聴こえるのです。(〇o〇;))))!!
恐るべし本格的セパレートアンプ!!!
フォノイコライザーアンプが、その設計・製作・コストの掛け方で、ここまでレコードの 再生音に影響を与えるものであると、身をもって体験できた瞬間でした。
おかげさまで、手持ちのレコードをすべて聴き直してみたい!・・・という楽しみが 増えました。(^○^)

 後にオーディオフェアーに出かけてBOSEを知り、TANNOYのウエスト ミンスターで衝撃を受けた逸話は、secondimpactのNo.002 衝撃の再生音で書いた通りでもあります。
しかしながら、そこまでで終わりがないのもこの趣味の世界、さらなる深みへと 落ちて行くのです。(^_-)
いつのまにやら自宅に置いてあるスピーカーはJBL4344になりました。
当初、パワーアンプはラックス・キットのA2110という、自分で組み上げた製品で 鳴らしてましたが、どうも力不足を感じて、マッキントッシュにでも変えてみようかとも 思ったのですが、オーディオショップのお奨めも有り、アキュフェーズのP−550という 機種になりました。この時は、少しは変わったかな・・・・?と言う程度だったのですが・・・。
長年愛用してたSY−88、入力をMCヘッドアンプに切り替えるとラジオや無線の 電波を拾ってしまうのか、スピーカーから声が聞こえるようになり、再生に支障を 感じるようになったので入れ替える事にしました。
機種選定は単純に、ステレオ・サウンドで年間最優秀製品に選ばれた実績から アキュフェーズのC−280Vへ、な、なんとこのプリアンプ、定価で¥800000也です。
¥180000から¥800000のプリアンプに替えると、やはりまたレコードの再生音が 全然違いますね。以前にSY−88に替えた時と同レベルの衝撃が走りました。 結果、またすべてのLPを聞き直す『楽しみ』(=もはや苦しみか?)が増えました。

 さらに、パワーアンプをP-550を切り替えて聴く、TANNOY STIRLING とJBL4344 での音の違い、STIRLINGなら充分に鳴らし切れるのですが、4344ではどこか アンプのパワー不足を感じてしまいます。
おそらく1Ω負荷でも直線的に1000W+1000Wの供給が可能である パワーが充分な超高級機に買い替えれば、それなりの駆動は期待できるの でしょうけど、如何せん貧乏サラリーマンゆえどうしても予算が足りません。
そこで閃いたのが、4344の機能の一つでもあるマルチアンプ駆動です。 チャンネルデバイダーを使って、 38cmのウーハーと、ミッドバス以上が受け持つ周波数帯域で分けて、 それぞれの信号を専用のパワーアンプに送って駆動してやれば、パワーアンプを超高級機に 買い替えないでも、中級機程度を買い増しすれば大丈夫なんじゃないかと・・・?
こうしてパワーの必要が無い中高音域は、A級増幅20W+20Wのパワーアンプに 任せて、38cmウーハーは270W+270W出力のP−550が受け持つという、 マルチアンプシステムが完成したのでした。(~-~;)ヾ(-_-;) オイオイ
結果はまたまた衝撃を伴う正解と言ってもいいのでしょう?何が違うって、中高域の 音が一段と澄んできます。
38cmウーハーからの反起電力の影響って、音質的にも大きかったんですね。
グレングールドの『ゴールドベルク変奏曲、1980年盤』じつにしんみりと静かに 鳴ってくれました。彼の唸る声もよりいっそうはっきり聴こえます。

 しかし・・・・・、それまで兼用で使っていたP−550がJBL4344専用になって しまったので、TANNOY STIRLINGを駆動させるアンプがありません。
なのでこちらも、昔から相性が良いと言われてる、英国はQUADの707という機種を 入手してみました。噂通りの相性の良さにもまた満足です。弦の音でシビレます!
と、結局はパワーアンプの高級機種を1台購入できるくらい掛かってしまったのですが・・・・・ (^^;)ゞ イヤー


しかし・・・・・、まだまだ終わりじゃないんですね。
さらなる衝撃を求めて、道楽は進みます。(゜O゜)☆\(^^;)


2008.1.30 記


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